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第6話
side悠
『sound Tree』へ行った翌日、俺は千世の家へ来ていた。
「急にごめんね」
「いやいや、昨日の夕食の時から思ってたから」
今日千世の家へ来ている理由は、ある動画を撮るためである。
俺は高校1年生の春休み頃から動画投稿サイトに『九十九』という名前で、歌やピアノの演奏を投稿していた。
千世はよくコメントをくれる視聴者で、入社して仲良くなった理由の一つである。
千世は一人暮らしでピアノもあって防音であるため、時々部屋を貸してもらって動画を撮らせてもらっている。
「今日はなんにするのー?」
「んー、この間あったアニメの作中歌をスローテンポでしよーかなって」
千世と仲良くなった他の理由は、アニメ・漫画好きであることと中高で吹奏楽部に所属していたことだ。
色々共感できて、とても話が合う。
「見てていいー?」
「見ててもつまんないよ?」
「楽しいから大丈夫」
毎度のやり取りをして、投稿する動画の練習をはじめた。
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