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4.メール
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ある日バイト帰りにあの河を通った。
そこで沙苗は、返事が返って来ない事を承知で、1通のメールを送信した。
星の光るこの夜空を見ていると、何となく返事が帰って来る様な気がしたから。
『今、和彦はどこに居るの?』
たったの一言。たったの一文。
これで最後にしよう。決心が送ったメール。
送信ボタンを押して、携帯を握り締めた。
何時の間にか、足は河原へ向いていた。水際で足を止めた瞬間、メールの着信音が鳴った。
この着信音は‼︎
この着信音は和彦とお揃いのメロディー。
握り締めた携帯のメールボックスを開いて、本文を見る。
『俺はここに居るよ
和彦』
本文にはそれだけ。
愛する人から愛する人へのメール。
沙苗はニッコリ微笑んで満月の輝く夜空を見上げた。
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