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「早く帰ってシャワー浴びたーい!」
伸びをしながら叫ぶアヤに続いて、俺もエレベーターに乗り込む。
結局全てが最初にアヤの言った通りで、あの一回きりで男達は満足してくれたらしく、俺達をあっさり解放してくれた。
ご丁寧にホテルの前まで車で送ってくれたので、当初の目的であるスーパーへの買い出しは明日に延期。今日はもう部屋に帰る事にした。
「三十分もかかんなかったねぇ。あはっ。あいつらどんだけ溜まってたんだよ」
「……アヤも、気持ち良かったの……?」
「んにゃ?」
クスクス笑いながらムービーをチェックするアヤにそう問いかけると、不満げに首を傾げられた。
「えぇー? な訳ないじゃん。あいつらまじ下手っぴでアヤまじ痛かったのにぃ」
「だ、だってアヤすぐイったから!」
「イくだけなら簡単だよ。精液出せばいいだけだもん」
「えっ、だってそんなの生理現象じゃん!」
当たり前のようにさらっと答えられ、目を丸くする。
そんな俺を見てクスクスと笑いを零すアヤは本当に楽しそうで。
「ちいちゃん可愛いーっ。やっぱアヤはちいちゃんにはここまで落ちてきて欲しくないなー。でもNo.1はちいちゃんに奪って欲しいしなー」
「落ちるって、逆じゃない? No.1が一番上なんだから……」
「ここが一番汚い場所だよ。ドロドロに汚れた底辺。馬鹿みてぇ……マジで頭狂いそうになるわ」
「……?」
吐き捨てるような低い声は、初めて聞くアヤの声で。思わず目を向けてしまったけど、エレベーターのボタンを見つめるアヤの横顔は、いつもと同じ。
「んにゃ、着いちゃった。じゃあちいちゃんまた明日ねっ」
「う、うんっ」
8階に到着したエレベーター。
いつもの可愛い笑顔で手を振るアヤに送り出される。
いつものアヤ。可愛いアヤ。綺麗なアヤ。
頭のてっぺんから足の先まで、女の子みたいに綺麗に飾られた綺麗なアヤ。
隙なんて一切無くて、常に完璧で、
それがもう、俺の中では当たり前になってた、
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