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第54話◇

 皆にお好み焼きを食べさせて、焼くのが落ち着いて、やっと蓮が座った。 「樹」  小さく呼ばれて、隣に座る。  2人で並んで、何となく顔を見あって。 「蓮、2日間、焼き係、お疲れ」 「ん」  そう言ったら、くす、と笑って蓮がオレを見る。 「……明日の夕飯はまた家かな」  そんな言葉と蓮の表情に、ふふ、と笑ってしまう。 「蓮って、今、明日何食べたい?て聞こうとしてる?」 「……してた」 「そんな顔してた」  オレがそう言ったら、蓮は、ふ、と苦笑い。 「してたんだけど、今夕飯食べたばっかで聞くのもなーと思って、やめたんだけど――――……バレた?」 「うん。分かった」  2人でクスクス笑ってしまう。 「……ほんと、今お腹いっぱいで、ぱっと考えられないけど……んー……」 「――――……」 「……蓮とゆっくり食べたいね……」 「じゃあ、つまみみたいなのいっぱい作って、ノンアルで乾杯しながら、ゆっくり食べるか?」 「うん。そうしよ」 「――――……まあ、早く帰れて、家で夕飯食べれたら、だけどな」  今度は完全な苦笑いで、蓮は、前からどどーーと、こっちに向かってくる皆に視線を流した。 「だーかーらー何でお前らは気付くと2人で良い雰囲気な訳」  森田うるさいし。 「そうだー混ぜろー!」  ……はー。山田もうるさいし。   なんか、心の中で、ツッコミを入れる癖がついてきてしまった。 「やっと加瀬が座れたんだからさ。邪魔すんなよー」  ……あれ? 佐藤までなんか変なこと言ってるし。  邪魔、すんな?  ……蓮とオレのことを邪魔すんな、じゃないよね?  蓮が座れたのを邪魔すんな、って事だよね?  もうよく分からないけど。  ぎゃーぎゃー言ってる皆に、なんかももう、おかしくなってしまって、クスクス笑いながら、見上げる。  なんか、楽しいなあ……。 「片づけたら、風呂いこーぜ」  山田に肩を組まれて、そう言われる。 「何か昨日お前と一緒に入んなかったような? 裸の付き合いしようぜ~」 「いーけど」  苦笑いで頷いて。  ふと、蓮の視線に気づく。  あ。ちょっと嫌がってる。  肩組まれてることなのか、裸の付き合いとか言ってることなのか、  ちょっと分かんないけど。 「とりあえず離して。片付けようか、そろそろ」  言いながら立ち上がって、そう言うと、皆もバラバラと、さっきのテーブルの方に歩き始める。  蓮を振り返ると、隣に来て。目が合う。 「……えと。……蓮、何が嫌?」 「…裸の付き合い」  あ、そっちか……。  笑ってしまうと。 「肩組まれてンのも、嫌」  あ、どっちもだった。  オレは蓮を見上げて。  ああ、なんか、蓮、可愛いなあ、なんて思ってしまって。  その気持ちのままで笑んだら。  蓮は、少しの間オレを見つめて。それから、苦笑いを浮かべた。 「……そんな顔すると、キスするよ、ここで」 「――――……それはダメだけど」  苦笑してから。 「……部屋なら、いいよ」 「――――……」  蓮も、分かった、と笑んで。んー、と腕を伸ばした。 「ちょっと風呂がなあ……」 「ん?」 「オレ、どこ見てよう」 「……オレの事は、見ない?」 「見れない。……樹以外の奴だけ見てるから、目が合わなくても、その間だけ許して」  蓮のセリフが可笑しくて、笑ってしまう。 「おーい、早く片付けるんだろー」  残って喋ってたら呼ばれてしまって、「今行くー」と答える。 「行こ、蓮」 「ん」  目を合わせて微笑んで。  皆の所に向かった。 (2022/2/25) お久しぶりです♡(*'ω'*)笑

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