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第55話◇番外編☆バレンタイン♡蓮×樹

本編とは関係のない番外編としてお読みください。 キャンプから帰って来た頃の2人の関係性だと思って頂ければ♡♡ ◇ ◇ ◇ ◇ 「――――……ん……」  朝日が眩しい。カーテンから漏れる光を避けて、体を動かす。  一緒に寝てた蓮をもぞもぞ探してみる。  ……あれ、蓮、居ない……?  目を開けても、やっぱり蓮は居なかった。枕元の時計は、6時。  ……トイレかな。  そう思って、しばらく待ってみた。  あれ? 帰ってこない……。  ベッドから降りて、部屋を出る。  リビングの方……あ、キッチンの方……?  ドアを開けると。 「あ」  蓮がオレを見て、そう言って。  急いで歩いてきて、オレを抱き締めた。 「おはよ、樹」 「ん、お、はよ??」  抱き締めたまま、そそ、と動かされて、部屋を出される。 「蓮……?」  見上げると、ちゅ、とキスされた。 「もう少し、寝て、あと30分したら来いよ?」 「?」 「朝食、楽しみにしてて」 「――――……うん♡」  何だかよく分からないけど、きっとおいしい物を作ってくれようとしているみたいなので、頷いて。蓮の頬にキスを返して、部屋の方に足を向けると。  蓮はクスクス笑いながら、手を振って、ドアの向こうに消えていった。  洗面所に寄って、顔を洗って歯を磨く。  部屋に戻って、ゆっくり服を着て、何となくそわそわ。  なんか、部屋が、甘くて幸せな匂いがしてた。  なんだろうなぁ。  こんな早く起きて。朝食って。  何となく他に何もする気がしなくて、ベッドに座って、そのまま後ろに倒れた。  ――――……蓮、楽しそうだったな。  なんか、可愛かった。  くす、と微笑んだ時。ドアがコンコン、とノックされて、そっと開いた。 「起きてる?」 「あ、うん」  起き上がって、蓮に近寄って、見上げる。 「もう出来たの?」 「できたよ。おいで」  優しく笑う蓮に頷いて、後をついていく。  テーブルにセットされてるのは、なんだかとっもてもオシャレなランチョンマットと、コーヒーと水と、フォークとナイフ。真ん中だけ空いてる。 「座って」 「うん」 「目、つむってて」 「うん」  何なんだろう。何で朝から、こんな感じ??  コト、と目の前にお皿が置かれる音。 「――――……いいよ、開けて」  蓮の優しい声に、目を開くと。  重なったパンケーキにフルーツと生クリームと、チョコレートソース。 「わあ。すっごい美味しそう……」  蓮はオレを見て、嬉しそうに笑う。 「でも、何で??」  朝から早起きして、こんなに美味しそうなパンケーキ??  そう思いながら、蓮を見上げたら。 「バレンタインだよ、樹」 「――――……あ。バレンタイン……そっか、今日だった」  そうだ。来週だって、先週思ってたんだった。 「今日だって事、忘れてた」 「うん。いいよ、全然。食べて」 「あ、ちょっと30秒待ってて」 「え? ああ」  オレは急いで自分の部屋に戻ると、鞄の中から小さな包みを取り出した。  リビングに戻って、蓮に渡す。 「何?」 「蓮、チョコとかあんまり食べないから」 「――――……」  包みを開いて、蓮がそれを手に取る。 「ブックマーカー?」 「うん。家で本読む時、使って欲しいなーと……外で読まないから、ハートでもいいでしょ? バレンタインだからハートに……」  むぎゅ、と抱き締められる。 「……ありがと、樹」 「――――……うん。オレも、ありがと」 「忘れてると思ってて。それでも全然いいと思ってたんだけど」 「今日だってことは忘れてたの。買ったのは先週なんだよ。来週バレンタインだーって思って」 「そっか」  オレを抱き締めてる蓮の体が笑って少しだけ揺れる。  頬に手がかかって、顔を上げると、ちゅ、とキスされた。  見つめ合うと、自然と微笑んでしまう。 「とりあえず、食べて、樹」 「うん。すっごく食べたい」  ふふ、と笑って蓮と離れて、2人で向かい合って座る。 「いただきまーす」  蓮は、テーブルにブックマーカーを置いて、「ん、食べて」と笑う。 「美味しいー」 「そう?」 「世界で一番美味しいと思う」 「おおげさ」 「じゃないよー美味しいよー」 「……そっか」  クスクス蓮が笑う。 「オレ早く本読みたい」 「それ、使いたいから?」 「そう」 「食べてからね? 片付けオレやるから」 「いいよ。一緒にやる」  ふ、と笑まれて。  その笑みに、笑い返して、頷く。  蓮の事が大好きで。  蓮と、一緒に居る空間が、大好きで。  朝からめちゃくちゃ幸せな。  バレンタインだった。 -Fin- (20222/3/4) あまり更新できてないこの2人を好きと言って下さる方がなんだか多くいて下さって。 お礼に♡

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