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「夫婦?」*樹
朝ごはんを食べながら皆で行く場所の相談。
蓮が「樹から聞いて、面白そうだと思うんだけど……陶芸教室、どう?」と言うと、皆、面白そう、とすぐ賛成してくれた。
朝食後に、予約を取れるか蓮が電話したら、十時からなら大丈夫ってことだったので、まっすぐそこに向かうことに決まった。
部屋を片付けて、荷物を車に積み込んだ。
「写真とろうぜ」
森田がスマホを置いて、オレ達を呼ぶので、皆で泊っていたログハウスの前に並ぶ。
「オレ、そこの端に入るから」
「うん」
オレの隣を指差すので頷くと、「タイマー五秒な」と言って、走ってくる。肩を組まれて「わ」と言った瞬間、フラッシュが光った。
「もー、絶対変な顔になったー」
オレが言うと、森田は可笑しそうに笑う。
「まあまあ」とか言いながらスマホのところに戻っていった森田は、「大丈夫!」とめっちゃ笑顔。絶対変な顔してたにちがいない、と思うんだけど、まあいっか、と思う。そんなのもいい思い出になるのかも。
「じゃあ出発するか。車、どうする? 佐藤は平気そう?」
蓮が聞くと、佐藤はうん、と頷いた。
「オレ、蓮の後についてくから、大丈夫。ここらへんは、一車線が多いし」
「オレ隣がいい?」
佐藤に聞いてみると、佐藤は、んーー、と考えた後、「とりあえず次のとこまでは、樹なしで頑張る」と言った。
「頑張るって……」
クスクス笑ってると、蓮と目が合った。
「じゃあ、樹、こっちに乗る?」
あ。なんか。
とっても蓮、嬉しそう。……可愛い。
「うん。じゃあ、蓮の隣行く」
「ん」
ふ、と微笑む蓮が、なんかもう。……ほんと可愛く見えてしまう。
……めちゃくちゃカッコいい人なんだけどね。
結局、蓮の隣にオレ、後ろに森田と山田。佐藤の車に、女子三人が乗ることになった。出発して少ししてから、森田が笑い出した。
「なんか今思ったんだけど……女子三人が後ろに居たら、佐藤緊張するかな? 男居た方が良かったかな?」
「あー……そうかも? 大丈夫かな?」
山田が苦笑してるけど。
オレはなんとなく、後ろで森田や山田がからかったりしてくるよりは、女子三人の方が、佐藤は心やすらかなのでは。と、思って、言っちゃおうかなーと思っていたら。
「お前らが後ろに乗ってるより、女子の方が良いだろ」
と、笑いながら蓮が言う。
「どういう意味だよー??」
森田と山田が言うけど。「オレも今そう思ってた」と笑ってしまうと、「お前もか」と言って、二人も笑う。
「まいいや」
言いながら、森田はスマホを取り出した。
「樹もそう思ってた?」
「うん。思ってた」
クスクス笑ってしまっていると。
「はいそこ、仲良く悪口言わない」
「別に悪口じゃないよー?」
ふ、と笑ってしまいながら答える。
「なあ、皆、何つくるの、陶芸」
森田が言いながら、スマホを読み上げてく。
「マグカップと、茶碗と、湯のみ、小鉢、どんぶりと、自由に皿も作っていいらしいけど」
「そんな色々できんのかな?」
「オレ、小学生ん時に湯呑作ったけど、わりとうまくできたような?」
「小学生で出来るなら、今ならすごいの作れるかな?」
森田と山田のそんな会話を聞きながら、「でもオレは灰皿、全然うまく作れなかったけど」と言うと、山田は「あ、そうなんだ」と頷いてる。
「あー、じゃあオレが天才だっただけかも?」
ははっと笑う森田に皆、苦笑しつつ、そーだね、と笑う。
「お前らは何つくんの?」
山田の言葉に、蓮が「さっき少し話してたんだけど」と楽しそう。
「バラバラでひとつずつあっても使いにくいから、何か使いやすい皿とか、お揃いで作りたいんだよな?」
聞かれて、「うん」と答えると。
森田がまた、「夫婦か」なんて言って、クスクス笑う。
「夫婦みたいなもんだよなー?」
乗っかって平気で言ってくる蓮には、まだちょっと答えられない。
「あ、答えない。振られてやんの、加瀬」
クスクス笑ってる森田と山田。「るせ」と呟きながらも、オレをチラッと見て、ふ、と笑う蓮。優しい笑顔に、オレも自然と顔が緩む。
(2024/3/28)
おひさしぶりです~( *ˊᵕˋ )♡
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