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第3話◇遊園地

 東京にきて1か月。  だいぶ慣れてきた。  大阪に帰りたいとも、思わなくなった。  それもこれも。 「啓介ーおっはよー」  明るい声が後ろからかかる。  ――――……全部、こいつが居るから、な気がする……。 「おはよ、雅己」 「なあ、昨日告白されてた子、付き合う事にしたの?」 「…んー。まだわからんけど」 「いいじゃん。可愛かったし。 あれ? そーいえば啓介って、大阪に彼女居たの?」 「これから彼女んなるかもなーて子は居ったけど……」 「んー……でも付き合ってなくて、遠距離でって難しいよな?」 「ん。無理やと思う。……昨日の子、来週末、遊園地いかないかって言われたんやけど……」 「え、いいじゃん、初デート遊園地! たのしそー」 「……んーこっちまだ全然場所わからんし。電車も全然わからんし」  調べんのもなんかめんどくさいし、ただ気が進まないだけのような……。 「え、じゃあオレと今週行く?」 「ん?」 「電車とか、遊園地とか、色んな店とか。東京のデートの予習、行く?」 「……」  予習なんかせんでも、ネットで見ればたぶん分かる……。  そう思うのだけれど。 「……ええん?」 「いーよ、オレも久しぶりに遊園地行きたいしー」  ウキウキ楽しそうな雅己。  で。  週末。雅己と、駅で待ち合せる所から始めて、電車で遊園地まで行き、乗る順番なんかも一緒に考えて、昼食べるレストランやお茶するカフェとか、物色して、駅まで一緒に帰ってくる。 完全にデートの予習。  雅己は楽しそうに、こうした方がいんじゃねー?とか、色々言いながら。  ていうか、オレは、デートした事無いけど。あ、でも中学ん時に、グループデートみたいなのでこの遊園地は来た、なんて、笑ってて。  …………何やら、めっっっっちゃ、楽しくて。  て。翌週、予習したデートコースで女の子と行ったのに。  ……なぜだか、全然楽しくなくて。  何なら、先週の雅己の笑った顔が浮かんだりして。  ずっと、あれ? おかしいなあ、と思いながらの一日になってしまった。  雅己に、デートどうだったかと聞かれて、雅己との方が楽しかった、なんて素直に言ったら。ありゃりゃ、という顔をして。  やっぱり2週連続で同じとことか行ったからだよな~余計な事したかも、オレ。ごめんなー?  なんて、言って謝ってる。 「オレはお前と行った遊園地、超楽しかったけど。やっぱ、予行しちゃだめだったか。途中で、ちょっと、そう思ったんだよなー」  あはははー、なんて、笑ってる雅己。  …………なんか、そんなんじゃない。  なんならお前と行くんなら、今週、3回目でも楽しそう……。  ――――……んー。  何でオレは、こんなにお前と居ると楽しいんかな……。  不思議。 月日が流れて♡ +++++ 「見てみて、啓介これ」 「ん?」 「これ。覚えてる?」 「……あ、これ……」 「お前のデートの練習で、遊園地行った時に、お礼とか言って買ってくれたやつ」  星の形に誕生石の石が小さくついたストラップ。 「ぶらさげるとこから外れちゃって、そのまましまってたの見つけたんだ」 「――――……懐かしいな」 「な」 「雅己との初デートやもんな」 「……は? あれは、お前のデートの予行練習だったじゃん」 「……オレの中では、初デート。めっちゃ楽しかったもん」 「……まあ、オレも楽しかったのは覚えてるけど」  ふ、と笑ってる雅己。  近づいて、ちゅ、とキスしたら。びっくりした顔で、見上げてきて。 「……何で今急に、すんの」 「――――……好きやから」 「……お前、ほんと、よくわかんね……」  なんて言われるけど。  また、ちゅ、とキスする。  ほんま、ずーっと好きやな、オレ。

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