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第4話◇…嫉妬?
「雅己ーちょっとこーい」
「はーい」
……また呼ばれてる。
バスケ部の3年に、雅己をめちゃくちゃ可愛がってる先輩が居る。
弟、みたいな感じなのだろうとは思うのだけれど。
……雅己を可愛がってるのは、その先輩だけではない、のだけれど。
その先輩は、誰かに何か手伝わせるとか、そういう時、必ず雅己を呼びつける。
全然嫌がらず、楽しそうに飛んでって、笑ってるから。
余計可愛がられるのも、分かるん、やけど……。
「――――……」
………あかん。
なんか、もやもやと………腹立つ。
先輩の所から戻ってきた雅己が、オレの隣で水を飲んでる。
「何で、先輩、お前ばっか呼ぶん?」
「…ん? ……あ、|敏《とし》先輩?」
「しかもなんや、よお触られてへん?」
「……触られ……?」
「頭撫でられたり……」
「ああ――――……するかも」
雅己の答えに、むー、と見つめる。
「……啓介、何が言いたい???」
「――――……わからん」
はー、とため息をついて、額に手を置いて、俯いた。
「なんだそれ」
ぷぷ、と雅己が笑いながら言って。
「――――……啓介?」
クスクス笑いながら、俯いたオレをひょい、とのぞいてくる。
「――――……ちょお……」
「うん?」
「……下からのぞくの、やめてや」
「――――……は??」
眉を寄せて。
雅己は姿勢を直して。
それから、ふーーー、とため息をついた。
「啓介って、変な奴……」
……自分でも分からん。
……なして、嫌なんか。
……なんで、下から覗かれて、どき、となんて、するか。
結局何で嫌かも分からないまま。
割と早めに3年が部活を引退してからは、
その件は、うやむやになった。
月日が流れて♡
+++++
さっき、何気なくスマホの古い写真を見てた雅己と話してたら、思い出した。
隣に寝てる雅己を、じっと見つめる。
……他の奴に触れさせたくない、とか。
雅己が楽しそうに笑い掛けてるのが気になる、とか。
下からのぞき込まれてドキッとするとか。
なんであの段階で、気づかんかったかが、謎……。
まあ。男同士やし。最初は気づかんか……。
「――――……ん……」
むにゃむにゃ言いながら、ころん、とこちら側に転がってきた。
……可愛ぇなあ、雅己。
今なら、触らせないでて、言えるし。
他の奴に必要以上に笑いかけんなと……それは言ったら、なんでだって、怒られるか…。
……下から覗かれて、可愛え思うんが何でかもわかるし。
……オレのにできて、ほんまよかった。
ぷに、と頬を摘まむ。
ぐっすり眠って、全然起きない。
……かーわええ……。
いつも寝顔をじーっと、見続けてしまう。
……寝てる雅己が可愛くて。
雅己を見ながら、眠くなったらいつのまにか眠る。
そんな毎日。
――――……何か、ものすごく、幸せな気がして。
ふ、と微笑んでしまった。
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