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第14話◇お月見

 今週日曜は、ライバル校との練習試合。  戦う度に、負けたり勝ったり、また負けたり。  いい勝負すぎてて、先輩たちの気合が半端なくて。  おかげで今日の部活は、めちゃめちゃハードな上に、長かった。 「もー疲れた疲れた疲れた!!」  珍しく、バスケ大好き元気印の雅己が、帰り道、自転車の所で、そんな風に叫んだ。 「明日の部活午前で良かったー、午後だったらきっと夜までとか延長された気がするー」 「まあそれはないやろうけど」  クスクス笑いながら、雅己をなだめていると。 「もー、早く帰ろ!」  雅己が自転車にまたがる。  啓介も後ろについて走り出した瞬間。 「わ、啓介見て、超、月、綺麗」 「――――……あー、今日、満月やて言うてた」  スピード緩まってたけど、ついには、道の端で止まった。 「……すっごい綺麗、だなー」 「そやな」 「な、公園で月見しよー」 「月見?」 「まあ、っていっても、月見るだけ。でも腹減ったから、何か買いに行こ?」  雅己の言うまま、2人で近くのコンビニに入る。 「な、啓介、月見バーガーにしよ?」 「ん、ええよ」  オレに、選択の余地は無いな。  ――――……楽しそうやから、ええけど。  クスクス笑ってしまう。  飲み物と月見バーガーを買って、近くの公園に自転車を止めた。  コンビニのビニールを手に引っ掛けたまま、雅己がブランコに座ったので、オレもその隣に座った。 「すごい、ここ、月真正面だった!」 「ほんまやなー」  少し漕ぎながら、ちょうど、見上げた所に、満月が見える。 「すっげえ疲れてたけど。何か、癒された」  そんな事を言いながら、ぼー、と空を見上げてる雅己に。  少し見惚れていたら。 「月見団子とか売ってなかったかなあ?」 「は?」 「月見団子。コンビニ、あった? あったら買えば良かったー」 「……めっちゃ腹すいとるやん。食べよ、月見バーガー」  苦笑しながら言うと、雅己があはは、と笑って、オレを見つめる。  ブランコを止めて、いただきまーす、と食べ始める。 「うまーい」 「そらよかった」  ご機嫌の雅己にクスクス笑いながら、空を見上げる。  確かにめっちゃ、綺麗。  公園で、2人で月見をしてから。  ぴょん、とブランコから飛び降りる雅己。 「明日も朝からだし。帰ろっか!」 「せやな……」  自転車をまたいで。ここの公園からだと、逆方向に帰る事になる。 「気ぃつけて帰れや?」 「うん。啓介も! また明日なー」  雅己が走っていくのを少し、見送って。  走り出そうとした瞬間。 「啓介!」  雅己の声。  振り返ると、少し先で止まった雅己が振り返っていた。 「ん?」 「啓介も疲れてんのに、付き合ってくれてありがと」 「――――……ん。えーよ。オレも癒されたし」 「じゃあ明日なー」  とびきりの笑顔で。雅己が離れてく。  何となく、見送る。  ――――……ほんま。素直。  ああいうんが、ほんま、可愛ぇしなー……。    ふ、と息を付きながら。  月を見上げた――――……。     ◇ ◇ ◇ ◇ 某投稿サイトのお月見企画で書いたの、載せておきます♡

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