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第402話※

「あっ、アッー」 ジュプッと後孔に指を突き立てられ、ゾクッと上がった快感に身を震わせた。 「ふっ、あぁ!あっ…」 ぐるりと指を回されれば、たまらない刺激に身が捩れる。 「あっ、あっ、火宮さっ…刃」 ぎゅぅ、と搔き抱いた火宮の身体にしがみつき、ガブリとその肩口に齧り付く。 「クッ、翼。大丈夫か?」 グチュリ、グチュリと蕾を解しながら、火宮が俺の顔を窺うように覗いてくる。 「んっ、ンッ、平気…だから、もっと」 俺は正気だよ、大丈夫。 強請るように腰を揺らせば、火宮がククッと喉を鳴らして、後ろを弄る指を増やした。 「ひぅ、あぁっ!」 「クソッ、邪魔だな、これ」 抜くか?と凶悪な台詞を漏らす火宮が、点滴のチューブを鬱陶しそうに揺らす。 「あっ、はっ、俺っ、は、いいけど、せんせ、に怒られ…」 「ククッ、注意を無視して、病室でおっ始めている時点で説教確定だ」 今更、と笑う火宮に、反省する気は欠片もない。 「あ、はっ、確かに」 これはバレたら、どこぞの誰かのブリザードも吹き荒れるやつだ。 思わず可笑しくなってしまいながら、クスクスと笑ったら、火宮の身体がギクリと強張った。 「翼?」 「あっ、んっ、大丈夫、ですよ?」 また狂気に、と畏れる火宮に、にこりと笑って見せる。 「大丈夫」 こうしてあなたに触れられて、俺が薬物の感覚を蘇らせることは決してない。 「翼」 「ふふ、だってね?クスリよりもずっと、火宮さんに触れていることが気持ちいいから」 その身体にも、その心にも。 クスリ以上の快感と快楽、そして何よりの安心を知っている俺が、惑うわけがない。 「ククッ、言うな」 「アッー、そこ!」 ニヤリ、と唇の端を吊り上げた火宮が、的確に前立腺を擦り上げる。 「あっ、駄目。だめっ、出ちゃう」 1人で先にイくなんて、嫌でグズグズとむずかるように首を振る。 「ククッ、翼」 「だめ。やだっ。挿れて…お願い、火宮さんっ、きて…」 「ふっ、可愛いことを言う」 「アッ、だって…」 繋がりたいんだ。 火宮の熱いねつで、グズグズに溶かされたい。 「クッ、翼、いくぞ」 「っあー!」 ズルッと引き抜かれた指の代わりに、ギシッとのし掛かってきた火宮の熱が蕾に触れる。 「っんァッ…」 期待にヒクつく蕾を感じた瞬間、ズプッと一気に奥まで穿たれた。 「あっ、はっ、刃。じん」 「クッ、翼。締めるな」 「あっ、だって、だって…」 嬉しくて。気持ちよくて。 ナカを穿つこの熱を、逃したくないんだ。 「ほら、少し力を抜け」 動けない、と笑う火宮が、ゆさゆさと腰を揺らす。 「あっ、はっ、あぁっ!」 「クッ、もっていかれそうだ」 ズルズルと、入り口付近まで一旦抜けた火宮の性器が、またズプンッと突き入れられた。 「あっ、刃。じん、好き」 点滴のチューブが邪魔で、片腕しか自由にならないけれど、その腕で必死に火宮にしがみつく。 「んぁぁっ!刃っ…」 仰け反る喉に、チクリとした痛みが走って、ニヤリと笑った火宮の顔が間近に見えた。 「っ、ハッ、翼」 「んっ、あっ、刃っ」 呼吸を荒げて、髪を乱す火宮が壮絶に色っぽい。 ズンズンと律動を早める身体に比例して、互いの熱が頂点まで高まる。 好き。好き。大好き。 ぎゅっとしがみついた身体を、早く激しく追い立てられる。 「っ、刃ッ、イ、くっ…」 ズプッ、と一際強く最奥を穿たれ、チカチカと目の前が瞬いた。 「っ、あぁぁっ!」 ピュッと中心から白濁が飛び散り、互いの腹の間を濡らす。 「ッ、翼」 ハッ、と熱い吐息を漏らした火宮が軽く喉を晒し、きゅっ、と歪んだ顔が、一瞬後にふわりと弛緩して。 「じん」 あぁそのイキ顔。 火宮さんだぁ。 大好きなその顔が目の前にあって、馴染んだ温もりがこの手にある。 ナカにはまだ火宮の熱が居座っていて、その繋がりを実感する。 「あぁ…」 戻って来れたんだな。 俺がこの世界で1番側にいたい人の隣に。 「刃」 思わずにまっ、と頬を緩めて、俺を見下ろす火宮を見つめたら。 その唇が、不意に「まずいな」と呟いて、俺の腕に向いた顔が、小さな苦笑を浮かべた。

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