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第437話※

「っ…」 コソコソと、キッチンカウンターの陰で服を脱ぎ去り、エプロンだけを纏って出てきた俺は、ぎゅぅ、と裾を下に引っ張りながらソロソロと火宮を窺った。 俺が着替えている間に寝室へ行っていたのか、リビングのローテーブルの上には、嫌ぁな玩具がゴロンと転がっている。 「っ、あ、の、火宮さん…」 「あぁ、支度が出来たか」 ニヤリと唇の端を吊り上げ、薄く目を細めて妖しく笑った顔が向く。 「ククッ、いいな。そそる」 「っーー!」 この変態。 こんな恥ずかしい姿を、愉しそうにジロジロと眺めるその悪趣味に目眩がしてくる。 「ほら、そんな遠くにいないで、こちらに来い」 「はい…」 下手に裾が捲れないように、恐る恐る足を進める。 身体中がスースーして、なんとも心許無く恥ずかしい。 「くっ、うっ、ふぇ…」 「ククッ、もう涙目になっているのか?それではこの先もたないぞ」 クックッと愉悦に喉を鳴らす火宮の、サディスティックな目が向いたところで、テーブルの上から、ローションを注入する用だろう道具が取り上げられた。 「ふっ、ほら、まずはソファの上に四つん這いになって、尻を向けろ」 「っ!」 その格好を想像しただけで、顔がカァッと熱くなる。 「ん?翼?」 出来ないか?と言わんばかりに目を眇められて、俺はノロノロとソファの上に上がった。 「っ、や、り、ます、よ…」 そう約束したのは俺だ。 「ククッ、いい覚悟だな」 なんとも愉しげに揺れる声が憎らしい。 「っ、ふ…」 きしっ、と、両手と両膝がソファの座面に軽く埋もれ、パサっとエプロンの裾が落ちた。 「はっぁ…あぁ」 「そのまま力を抜いていろよ」 「っあぁ…無理…」 ピタリ、と蕾に触れた、注入器の先が冷たい。 ぶるりと身体が震え、突き出したお尻にまで鳥肌が立った。 「ククッ、媚薬成分は一切ない、普通のローションだからな」 「っ、あ、んっ…」 ツプ、と蕾を押し広げ、先がナカへと挿入ってくる。 「こら、力むな」 「はぅぁ、だって…」 異物の侵入に対して、勝手にキュッと窄まる蕾は、意識してやっていることではないからどうしようもない。 「ほら、力を抜け」 「は、ンッ、痛っ…」 パンッ、と軽く尻たぶを張られて、俺は慌てて身体から力を抜いた。 「あぅぅ…はぅ、んっ、あンッ…」 「注入(い)れるぞ」 「ん…あっ、あぁっ、やぁっ」 うわ。ヌルッとナカに注ぎ込まれていくこの感じ…やだ。気持ち悪い。恥ずかしい。 それは多分、ほんの数秒。けれども俺には何分にも、何十分にも感じる、長い長い時間だった。 「よし。入ったぞ」 「う、んっ…あぁぁ」 ちゅぽんと蕾から抜けていった注入器とともに、タラーッとひと筋、腿にローションが伝う。 「ククッ、卑猥な光景だな」 「やだっ。やだ、見な、で…」 「クッ、安心しろ。淫らで可愛い」 「ばっ…」 バカ火宮。 こんな屈辱的で恥ずかしい姿を、そう形容する火宮の頭がおかしい。 この状況に安心の要素は1つもなく、できることなら早く次の行為に移りたい。 「っ、玩具、下さ…。火宮さんは、ソファに…」 早く座って…。 ノロノロと身体を起こし、緩慢な動きのままソファを下りた俺は、コポッと溢れたローションに気づいて、ますます顔を熱くした。 「やっ、これ…」 「ククッ、それを掬ってバイブに塗り広げて挿入れろ」 「はぅ、あぁっ、はい…」 ほら、と渡されたバイブを受け取り、俺は恐る恐るそれをお尻に近づけた。 「んっ、ンッ、あっ…」 太さは指2本分くらいしかない。 形も特に凶悪でもなんでもなく、少しブツブツしているのを除けば、比較的シンプルなバイブだ。 ただ持ち手のところにスイッチが付いているということは、振動型なんだろう。 「ククッ、俺はこっちか」 キシッとソファを軋ませて、俺が跪いた前に腰を下ろした火宮が、軽く両足を広げて、俺が奉仕するスペースを作った。 「んっ、あ…」 バイブを蕾にあてがったまま、火宮のズボンの前を寛げる。 軽く押し下げた下着の中から取り出した火宮は、思わず怯むくらい、この状態でもご立派な代物だ。 ぼろんと取り出したそれに、そっと唇を近づけながら、俺は後ろの玩具を持つ手にグッと力を入れた。

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