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第179話※

「っ、あぁぁっ…火宮さんっ」 助けて。 身体が熱い。 「ククッ、即効性だからな」 そんな解説はいらないから。 この疼く身体をどうにかして。 ローターは後ろに入れられたままだけど、もうそんな刺激じゃ物足りない。 「んあっ、あぁっ、お願っ…お願い、火宮さんっ…」 どんっ、と火宮に体当たりして、スリスリと震える身体を押し付ける。 「ククッ、何だこの足に当たる硬いのは」 「っ…やだぁ…」 言わないで。 「淫乱」 コソッと耳に触れた吐息にまで、ゾクゾクッとたまらない快感が湧いた。 「もっ、無理…」 身体が熱くて熱くてたまらない。 全身が疼いて、触れて欲しくて…。 「満足っ、でしょうっ?」 真鍋が俺を突き落としていったこと。 「だからもうっ…」 抱いて。 欲しい。これが、欲しい。 ストンと跪いて、不自由な手の代わりに口を使ってジッパーを下ろした。 「んっ…お願っ…」 口じゃぁベルトが外せない。 必死で火宮を見上げたら、ゾクリとするような妖艶な笑みを浮かべた顔があった。 「っ…あぁぁっ…」 なんで。こんなの。 きゅぅ、と下腹部が切なく疼いた。 それにつられて後ろもぎゅうと収縮する。 だけど、色香を放つ火宮の目に見つめられただけでなんて…。 「クッ、まさか、イッたのか?」 「っ、違…」 違う。 いや、違うと思いたいだけで違わない。 ベトリと汚れた下着の不快感は、誰より俺がよく分かってる。 「ククッ、ここまで効くとは」 クックと愉しげに笑っている火宮の顔が涙でぼやける。 「その表情、たまらないな」 「っ…」 チラリと覗いた赤い舌が、ゾクゾクッとたまらない色気を感じさせた。 ギラリと欲情に揺れた火宮の目が俺を真っ直ぐ射すくめる。 「んっ…あ、あぁぁっ…」 駄目だ。 その顔、やばすぎ。 残っていたんだかどうかのなけなしの理性も完全に吹き飛んだ。 放ったばかりの熱がまた中心に集まり、汚したばかりの布を押し上げる。 「刃。じん、お願い。解いて…後ろ、挿れてっ…刃ので突いて。ぐちゃぐちゃにしてっ…」 ただ、欲しい。 熱い熱い火宮の熱が。 「ククッ、半分飛んでるな…」 「刃っ、じんー」 欲しいよ、欲しい。 熱くて疼いてたまらないんだ。 「お願いっ…」 必死で頬を火宮の中心に擦り付けて、下着の上からそこをペロペロ舐める。 正気になったらきっと死ぬほど後悔するんだろうけど、今はただ、この愛おしい人と1つになりたい。 ただ、火宮が、欲しい。 「クッ、こう積極的なおまえも悪くない」 「んっ、あぁっ…」 「叶えてやる」 スッと俺の頭が押しのけられた。 同時にシュルッと手のネクタイが解かれたと思ったら、脇に入ってきた手にひょいと抱え上げられ。 「んっ…」 アップになった火宮の顔が、間近に迫ったと思ったら深い深い口づけが落ちてくる。 「んんっ…はっ、あんっ…」 クチュ、ジュッ、と角度を変えて貪られ、歯列をなぞった舌にゾクゾクと痺れるような快感が湧く。 飲み込み切れない唾液が顎に伝い、必死で突き出す舌が吸われて気持ちいい。 「刃。じんー」 「ククッ、翼」 そのままゆっくり押し倒され、トンッと背中がついたのは、もしかして火宮の執務デスク? 「っあ…」 「痛くないか?」 「だ、いじょ、ぶ…」 背中の下でクシャリと皺になった書類を感じたけれど、もうどうでもいい。 どんな早業か、スルッと下されたズボンと下着が、ポイッと投げ捨てられた。 「ククッ、これはこれは…」 「んっ…?」 どこ、見てるんだろう。 愉悦に揺れた火宮の声と、全身に走る視線を感じる。 「翼」 「っ、あぁっ…」 低く名を呼ぶその声がたまらない。 クチュと蕾に差し込まれた指が、ズルリとローターを取り出していった。 「翼」 「あんっ、あぁっ…」 そんなに愛おしそうに呼ばないで。 今度はその声だけでイッてしまいそうだ。 「翼、好きだ」 「っ、あぁーっ…」 何それ、反則。 耳と後ろを同時に侵すなんて。 ズッと後孔を穿った、待ち望んだ熱に、悦びの涙が溢れた。

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