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第281話※

ジッと見下ろしてくる火宮の視線を感じる。 器用に安全ピンを外されたシャツを開けられ、露わになった胸元に火宮の手が伸びてきた。 「んっ、んんっ…」 立てられた人差し指が、身体の中心に線を引くように、喉元から臍まで、スーッと滑っていく。 くすぐったさに身を捩れば、咎めるように火宮の目が眇められた。 「正直に答えろ」 「っ…ンッ」 「ここには触れさせたか?」 臍まで行った指がスッと離れ、代わりに触れたのは声を堪えている唇で。 「んっ…」 フルフルと首を振ったら、片頬だけを器用に吊り上げた火宮の顔が見えた。 「きちんと口で答えろ」 「っ、あ、されて、ない、です…」 キスも、フェラも、と流石に続きは目だけで伝えたけど、どうやら火宮は納得してくれたようだった。 「この傷は」 スッと指先が移ったのは、頬の一箇所で。 「ボタン…引き千切られて、飛んで…」 「だろうな」 「服…駄目にしてごめんなさい…」 制服だから高いのに。 ポツリと謝ったら、そこは気にするな、と火宮に指で額を弾かれた。 「次だ。ここは」 クニ、と胸の飾りを指の腹で押される。 「あっ、嫌だ、やだ…」 ビクリと仰け反った身体が、答えよりも先に答えとなる反応を示していた。 「ふんっ。翼、答えろ」 「あっ、あっ、そ、こは…」 思い出したくない。 けれど思い出すように強要してくるこれが、火宮の罰なんだ。 火宮以外の男に身体に触れさせてしまった俺への、お仕置き。 俺は、嫌でもそのときのことを思い出して、震えながら火宮に正直に伝えた。 「ふぁっ、あっ、さ、わら、れた…あいつら、に…」 「チッ。どんな風にだ、翼」 「っ、や…」 そんなことまで言わなきゃならないの? クニッ、クニッ、と乳首を押し潰すように指の腹を滑らせる火宮が、少し苛立たしげに瞳を揺らしているのが見えた。 「翼」 言え、と目で促され、俺は震える唇を動かす。 「っ…ゆ、指で、摘まれて…」 「こうか?」 「ひぃぁっ!」 キュッ、と、やつらにされたように火宮に指を動かされ、思わずビクリと腰が跳ねた。 「んっ、んっ、あっ、あぁっ、やっ…」 コリコリと乳首を摘まれ、ビクビクと身体が震える。 あのときと違って、快感に、乳首がツンと尖っていってしまうのが分かって、恥ずかしさに顔が熱くなった。 「ふっ、立ってきたぞ。あいつらに触られたときも、ここをこうしたのか?」 こちらも、ともう片方の乳首も摘まれて、俺は悲鳴混じりの叫び声を上げながら必死で首を振った。 「してないっ、してないですっ。あのときは、ただ怖くて、気持ち悪くてっ…」 「本当に?こうされて、可愛い声を上げたんじゃないのか?」 「ひぁっ、あっ、あんっ、んンッ…」 してないよ、してない。 なんでそんな意地悪言うの? 俺は火宮以外に触られたって、気持ちよくも嬉しくもないに決まっているのに。 ブンブンと首を振る俺をニヤリと見下ろし、火宮はなおも執拗に乳首を嬲ってきた。 「抵抗せずに触らせたんだろう?」 「違っ、やっ、あんっ、だって…両手、上に…」 「ん?」 「手ぇ、別の男に…上に、押さえられて…」 クリクリと乳首をいじられ、快感に仰け反りながら、俺は必死で言葉を紡いだ。 「引き剥がし…たくても、できな、くてっ…」 非力な自分が情けなかった。 ポロリと涙が伝った頬を見下ろして、火宮がニヤリと妖しく笑った。 「なるほど。こういうことか」 「え?やっ、いやっ、火宮さ…」 シュルッと解かれたネクタイが見えた。 それは瞬き1つの間に、頭上にグイッと上げさせられた俺の手首に巻きついていて。 「やっ、そんな…」 キュッ、と一纏めに拘束されてしまった手が、まるで路地での出来事の再現のように感じた。 「火宮さ…ひぁっ、あっ、あぁんっ」 またも乳首を弄る手が動き出す。 嫌だ、嫌だと思うのに、目の前に見えるのは大好きな人の闇色の瞳で。 ゾクリ、ゾクリと上がる快感が、中心に熱を集めていく。 ズボンを押し上げる熱が火宮にも気付かれて、乳首から離れた片手が、スゥッとズボンの上からそこを撫で上げた。 「んんっ、あっ…」 「ここは?膨らんでいるぞ」 「あぁっ、だ、って…」 「やつらにされて、同じようにしたのか」 きゅっ、と性器をズボンの上から握られて、ビクッと身体が跳ねた。 「してないですっ…」 俺が感じるのは火宮にだけだ。 「触られたか?」 「されてなっ…触られてないっ…」 本当に?と細められる目が窺うように俺を見ている。 「本当っ。本当に」 その前に豊峰が助けてくれたから。 「ふぅん…じゃぁ見せてもらうか」 「は?え…見るって」 何、と思った時にはすでに、カチャカチャとベルトが外され、ズボンを下着ごと一気に引き下ろされていた。 「やっ…」 「ほぉ?濡れているみたいだが?」 ピョコンと飛び出てしまった性器を見つめられ、染みのついた下着を示される。 「違っ…違いますそれは…いま、火宮さんが…」 乳首を弄って感じさせたから。 「まぁ確かに、まだ真新しく粘ついているな」 「っ…言わ、な、で…」 観察するように性器をじっくりと眺められ、カァッと頬が熱くなるのと同時に、むくりとまた中心が力を増してしまった。 「ふっ、見られただけで」 クチュッ、と性器に火宮の手が触れた。 「あっ、あぁっ、あんっ…」 「なんだ。腰を揺らして」 「違っ、あぁっ、それ、や…」 先走りを塗り広げるように上下に擦られ、先端をカリッと指先で引っ掻かれる。 「んぁっ、あっ、あぁんっ…ンッ」 「ククッ、ますます溢れてきたぞ」 「だ、って、ひ、みやさ、んが…」 そんな風に触られたら、感じるに決まっている。 「クッ、俺がなんだ」 ニヤリと意地悪く笑いながら、ますます性器を弄る手を激しく動かしてきた。 「あっ、あっ、イっちゃう…イっちゃ…」 裏筋をスゥッと撫で上げられ、強弱をつけて揉みしだかれる。 先端にもクチュクチュと指の腹で刺激を受け、あまりの快感に頭が真っ白になった。 「あっ、イく。イきた…」 「ふっ、駄目だ」 「ふぁっ、な、んで…」 もうイく寸前だったのに。 スッと離れてしまった手にひどい喪失感が突き抜ける。 解放をはぐらかされて体内に残った熱が、全身を荒れ狂う。 「まだ調べていない場所があるだろう?」 「え…?」 「1番大事なところだ」 ニヤリ、と妖しく光った火宮の目に、ギクリとした瞬間。 グイッと膝の裏に手掛かり、両足を持ち上げるように大きく開かれた。 お気に入りイイネ 前へ次へ

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