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第299話※

「んっ、んぁ…くっ」 唾液をたっぷりと絡めた指で、必死に自分の後孔を解す。 いつもは火宮がしてくれるその行為を、今日は啖呵を切ってしまったからには自分でしなくてはならない。 「んっ、あっ、んぁっ…」 チュクッ、クチュッと後ろから上がる音が恥ずかしい。 ひぃーん、見てるし…。 目を眇めて愉しそうに俺を見下ろしている火宮の視線がたまらない。 「っ、あぁっ…」 やばい。 火宮にこの姿を見られていると思うだけで興奮する。 まるで変態みたいだ、と思うのに、身体はその心に反して身悶えた。 「ククッ、1人で随分とよさそうだな」 「あっ、んんっ、そんなことは…」 ニヤリと弧を描く唇が、意地悪な台詞ばかりを紡ぐ。 なのにその色香を纏う声に痺れた身体が、ゾクゾクと快感を拾い上げ、中心をどんどん熱くする。 「嘘つきな唇は、塞ぐぞ?」 サディスティックに揺れた声が、吐息と共に耳に吹き込まれる。 意識をそちらに奪われた瞬間、グニュと足の指先で性器を揉まれた。 「ひゃんっ!やめっ…」 「ククッ、これはなんだ」 腹に向かってそそり立っている性器を指摘され、羞恥にますます身体が熱くなる。 「違っ…」 違わないけど、火宮のを舐めて、自分で後ろを弄って、それだけで勃っているなんて認めるのは恥ずかし過ぎる。 「前を触るのは禁止しているが、もしかして翼、普段もこうして後ろで1人で遊んでいるのか?」 「っ…」 するわけないし! なんで今日はこうもやけに意地悪ばかり言うんだろう。 連日連夜、火宮に責められまくっている俺が、1人でする気になるわけないのに。 いくらピチピチの16歳でも、火宮とのえっちの頻度じゃ、溜まりようがない。 「ククッ、なんだその目は」 思わず睨み上げてしまっていたのか。 「生意気で……可愛い」と呟いた火宮に、ガクッと力が抜けた。 「バカですか?」 「言うな」 「だって…」 「まぁ真鍋に言わせれば、俺は翼馬鹿らしいが」 俺がえっちの最中に他の男の名前を出すと難癖つけてくるくせに。 ムカつくから俺だってやってやる。 「今は真鍋さんなんて関係ないです。余所見したら駄目ですよ」 垂れ下がったネクタイをグイッと引っ張り、倒れてきた上半身に伸び上がって、その唇に噛み付くようにキスをしてやる。 「ッ…」 「んっ、ぁっ…他の男の名前を口にする悪い唇は、こう、です…」 ニッ、と火宮がするみたいに唇を持ち上げてやったら、火宮の顔がさも愉快そうに綻んだ。 「まったく、おまえは…クックックッ」 「っーー!」 なんだそれ。ずるい! ゾクッとするような、蕩けた鮮やかな笑みを浮かべて、愛おしくて愛おしくてたまらないという視線を向けてくるとか。 駆け上がった快感と、ゾクゾクするような満足感に、タラッ、と中心から先走りが溢れ出て、竿に伝ったのが分かった。 「っ…もう黙って」 このままじゃ、形勢逆転されてしまう。 焦った俺は、思わず火宮のネクタイを解き、それで火宮の両手をぐるぐると拘束してしまった。 きゅっ、と結んだ手首のネクタイを、火宮が愉しそうに、やけに大人しく見つめている。 「ふっ…」 思わず漏れた、といった火宮の笑みは、一体なんなのか。 「俺だって、食われてばっかりじゃないですからね」 これでもオトコノコですから。 「俺もあなたを、いただきます」 にぃ、っ、と笑って火宮に乗り上がり、ソファにその身体を押し倒した瞬間。 ぶわっと湧いた甘く痺れるような色香に包まれて、蕾がたまらずヒクヒクと疼き、全身が欲情に震えた。

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