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プロローグ「紅祢は夢を見る」

葉月紅祢(はづきあかね)はオメガ性が発現してから、不思議な夢を見る。 別人になって幸せと理不尽とつかの間の幸せの先に裏切られ苦しみ抜いてやがて薬で苦痛を和らげた先に死ぬ夢を。 死ぬ直前、幼馴染みと愛しい息子に囲まれた病室に彼はきて。 まだ、息子よりも幼い少年だった彼は間に合わなくてごめんと泣いていた。 初めてみるその少年にたまらない愛おしさを感じたことを覚えている。 もしかしたら運命の番だったのかもしれない。 そんな予感を感じつつ彼に向かって微笑んでその夢は終わる。 これが夢なのか妄想なのかわからないけれど、いつか、泣かせてしまった彼に謝りたいと思って、そしてほとんど忘れて目を覚ます。 断片しか残らない夢の欠片を思い出しながら。

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