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第17話
「初詣は人が多すぎて、結構大変だな」
「そうだね、和己くん」
和己は、律の顔を見、そして視線を下に落とした。
白いすべすべの、手。
少々頬を染めながら、こほんと咳をひとつ吐く和己に、律が言った。
「和己くんが迷子にならないよう、僕の手を握っててもいいよ」
やれやれ、と律を見た。
でも、次に笑顔になった。
これは、ツンデレかもしれない。
だけど、律が俺と手をつなぎたいな、って思ったことは確かなんだ。
喜んで、律の手を握った。
「こいつは春から縁起がいいな」
「良い一年にしようね」
きゅっ、と握り返してくる力が、とても心地よかった。
二人に射す爽やかな新年の光が、とても心地よかった。
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