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自宅の隣。田辺と書かれた表札は見慣れたものだった。 その下のインターホンをもう押すことはない。 どうせ顔も会わせたくないだろうし、まず家にいるかが怪しい。 母から聞いたが田辺の両親は、期待の息子に裏切られ、傷心で海外にいるらしい。 あいつの部屋のカーテンが締め切られた窓を、少し眺めて踵を返した。 あいつが学校に来なくなって半年。面と向かって会話をしたのはいつだったか、最早思い出せない。 前はこんなんじゃ無かったのにな 『優等生』という言葉が一番似合う奴だった。 そんな奴が隣にいるものだから俺は幼少のころからいつも比べられていた。 『誠くんはすごい子だ』 当たり前だろ。あいつが誰より影で努力をしていることを俺は知っている。 あんなに褒め称えていたのに、堕ちた途端に周りは手の平を返す。くだらない。 でも何よりくだらないのはあいつに向けてる俺の感情。 不毛な恋だとわかっている。

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