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第1話 アイコさん(1)

 小型冷蔵庫が振動してるような鎮圧機をゆっくり引っぱりながら、脳内でずっと昨日のゲームの流れを再現していた。――あれは何がいけなかったんだろう。やっぱ俺のクリアリングが中途半端だったか。いや、スクアド(四人チーム)なのに俺一人しか生き残れず、違うグループの四人に取り囲まれたからだ。頑張ったが結局ハチの巣にされちまった。  農作業に関しては体が勝手に動くので無心の状態でもやることは全部やれる。でもこんなうわの空の状態で地面をならすのはこれから植えるトマトに失礼だろう。けれども気を抜くと心はすぐに昨日の夜に戻ってしまう。  ……アイコさんにいいところ見せたかったんだよな、要するに。今回他の二人のカバーに回ったため予想外に早く死んでしまったアイコさんだったが、ホームに戻って次の試合を始めたりせず、俺の立ち回りを最後まで観戦してくれていた。「四人相手に一人で頑張った」と思ったろうか、それとも「一人も削れないまま終わるなんて、まだまだだな」と思われたろうか。

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