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第一章・7

「お待たせしました。キリマンジャロです」 「幸樹くん。さっき私のことを素敵だ、と言ってくれたね」 「はい」 「私も君が気に入ったよ。よかったら今夜、食事でもどうだい?」  さて。  ただの強がりなら、即お断りしてくるはず。  ところが。 「いいんですか!?」  嬉しそうな幸樹の声に、今度は遠山が慌てた。 「申し訳ございません! 桂が、失礼なことを!」 「いえ、構いませんよ。幸樹くんも、素敵な子だ」  幸樹をヤクザにさらわれては大変なので、遠山はまじめな表情を玄馬に向けた。 「私の店に、何か特別な御用が?」 「聡いですね、マスター」 「最近この辺りの老舗が、どんどん店を閉めてますから。今度は、うちの番ですか?」 「さすが話が早い。今日は、立ち退きをお勧めに来ました」  あやしい雰囲気をかもす素敵な男の言葉に、幸樹は目を見開いた。

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