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第一章・6

 玄馬は、カウンターへ戻って行く幸樹の背中を見ながら、困惑していた。  今日は、わざとこの服装でカフェに来た。  善良な市民なら、震え上がるような不吉な格好で。  外に待たせてある部下も、派手なシャツや喜平ネックレス、腕のタトゥーが見えるような半袖と、いかにも極道らしい装いでキメている。  だのに、なぜ。 『よろしければ、お名前をお聞かせください。僕は、桂 幸樹といいます』 (彼がよほど豪胆なのか、それとも私がぬるいのか)  そこで玄馬は、コーヒーを運んできた幸樹を試すことにした。

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