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第二章・3
「何か、理由があるんだろう。生きてさえいれば、いつか会えるよ」
「ありがとうございます」
玄馬の父は、すでに他界している。
そのため、若くして彼が跡取りになった。
「九丈さん、組長さんなんですか!?」
「まだ30代なのにね。おかげで他の組に、少々なめられてる」
だから、奴らを見返したい。
だからこそ、玄馬は躍起になって、勢力拡大を推し進めている。
あおぞら商店街の再開発も、その一環だ。
しかし、その話題になると、幸樹は悲しそうな顔をした。
「遠山さんのカフェが無くなるのは、嫌です」
「無くなるわけじゃない。ほかの土地に、移転するんだ」
その土地は、九丈組のものではあるが。
しかしそのことは、玄馬は伏せておいた。
(今夜はこれ以上、悪者にはなりたくない)
何といっても、お楽しみが控えているのだから。
ディナーを終えると、二人は連れ立ってスウィートルームへ入った。
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