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第三章・3

 ぐったりと動けない幸樹の背に腕を入れ、玄馬は彼の上半身を起こしてやった。  ベッドのヘッドボードにもたれさせ、飲み物を差し出した。 「飲むかい?」 「ありがとうございます……」  手渡されたグラスは、あっという間に空になった。 「……はぁ。おいしかった」 「君も、すごく美味しかったよ」  玄馬は、幸樹の薄く開いた唇に、短いキスをした。 「初めてをくれて、ありがとう」 「いいえ、僕のほうこそ。嬉しかったです」 「嬉しい? 極道に抱かれて、嬉しいのか?」 「全然、痛くありませんでしたから」  噂によると、初めての時はひどく痛かったり、出血したりすることもあるという。 「大切に抱いてくれたんだなぁ、って思って。それで」  玄馬は、言葉を失ってしまった。  ただ、妙な感動を覚えた。

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