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第十八章・9
「幸樹、いえ、幸樹くんとは、親密にお付き合いさせていただいております」
「ほう。九丈不動産の若き社長が、市井の大学生と?」
「幸樹くんは、もはや私にとって無くてはならない人です」
そんな玄馬の言葉に、幸樹は頬を染めていた。
(玄馬さん、そんな! お父さんにぺらぺら喋っちゃ!)
「九丈さんは、指輪を贈るほど幸樹くんのことを想ってらっしゃるんですよ。お父様」
(翔さん、そんな! お父さんにぺらぺらバラしちゃ!)
敬之が見ると幸樹の指には、一目で高価な品とわかるリングが光っている。
そして、玄馬の指にも揃いの指輪が。
「九丈さん、これは一体……」
「児戯と笑わないでください。婚約指輪は、もっといいものを、と考えております」
「こ、婚約?」
「泉田さん。どうか、幸樹くんと結婚させてください!」
幸樹は、ティーカップをがちゃんと鳴らしてしまった。
「玄馬さん!?」
「幸樹、結婚してくれ」
「玄馬さん……」
幸樹は、時が止まった心地を感じていた。
この部屋には多くの人がいるはずなのに、玄馬と二人きりになった心地がしていた。
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