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第1話
「おーい、起きろー!飯、食いっぱぐれるぞぉ!」
いつもの大声が部屋に響き渡り、ベッドの上で盛り上がったタオルケットがもぞもぞと動く。
「せんぱーい!本当にご飯無くなっちゃいますよぉ!」
「ったく、仕方ねぇなぁ。おい、持って来てやれ。」
「またですかぁ?もう!怒られたら先輩達のせいですからね!!」
頬を膨らませながらも、扉を開けて部屋を出て行く宗也の背中を見送ると、この部屋で一番の年長者の志貴がまだもぞもぞと動くだけで顔も出さないタオルケットのいるベッドに近付く。
「おーい!そろそろ本気でヤバいぞ…りーつ?」
志貴の声に動いていた山が止まり、中からぴょこんと律が目だけを出して恨めしそうに呟いた。
「先輩のせいだろ?…どうすんだよ、これ…」
志貴が律の被っているタオルケットを掴み上げて下半身に視線を落としてニヤリと笑う。
「…してやろうか?」
「ちょっ!ダメだ…って!」
志貴の手が律の嫌がる手を交わし、パジャマの布越しでもわかるほどに硬くなった下半身に伸びる。
「…んぱいっ!宗也が…帰って来ちゃっ!…あ…んぁっ!」
パジャマと下着をずり下ろされ、露出した下半身をリズム良く擦り上げる志貴の腕を律の両手がキツく掴み、声が出ないように唇を噛む。
「そろそろ…か?」
「っくぅ!いっ…く…ぅううん!」
志貴が慣れた手つきでぱぱっとティッシュを数枚取り出し、律の先端に被せると、タイミング良くその中にドロっとした体液が受け止められた。
「気持ち良かったろ?それとも…こっちじゃないから満足できなかったか?」
そう言って、律の背中に手を回してきゅっとすぼめた蕾の周囲を指でくすぐる。
「んん…せ…んぱ…っ!やだ…ってば!」
「本当に、イヤか?」
指が止まり、志貴が律を見つめる。
先程までの意地悪そうな顔とは違った真面目な表情に律が顔を赤くして俯く。
「イヤ…じゃないけど…今は…」
目をキョロキョロとさせながらしどろもどろに小さな声で答える律に志貴の目がニヤリと笑った。
「イヤじゃないならいいって事だよな?」
再び動き出した志貴の指に律がそれを止めようと掴んだ手に力を入れる。
「今はダメだって!!」
そう言って、頬を膨らませる律の顔を見て志貴がしょうがないなと肩をすぼめながら手を離した。
「着替えられるか?」
ズリ下げられた下着を上げながら、ベッドから下りようとする律の腰を抱き寄せて膝に座らせると、志貴が上着を脱がせる手伝いをする。
「自分で出来るから!宗也が帰って来ちゃうから、ダメだって!」
上着を脱がせながら、胸に手を這わしてうなじに口付けをする志貴から逃げるように身を捩ってベッドから飛び下りたと同時にバタンと扉が開いて、温かい朝食の乗ったトレイを持った宗也が部屋に入って来た。
「先輩、起きてますかぁ?」
「あぁ、悪いな…宗也。」
机にトレイを置くと、壁にかかっている律のシャツを手に取り、どうぞと律の裸の背中にかけた。
「ありがとな。」
ぐしゃっと宗也の頭を律の手が撫でるのを、律のベッドに横になったままで志貴がニヤッとした目で見ているのに宗也が気が付き、何ですか?とイヤそうな声を出した。
「いーや、何でもねぇよ…小動物が戯れてるのは可愛いもんだなと思ってさ…」
起き上がりながら意地悪く言う志貴に宗也が顔を真っ赤にして律を見上げた。
「せんぱぁい。志貴先輩が意地悪いです!」
まったくとため息をついた律が、宗也をいじめるのはやめてくださいと志貴に言いながら、机に置かれたトレイの朝食に手をつける。
「そうですよ。僕をいじめないで下さいよ!」
「おっ!生意気ー!!」
宗也の頭をぐしゃぐしゃにしながら、ゲラゲラと笑う志貴の手を振り払うようにして律の体に隠れる宗也をよしよしと、ぐしゃぐしゃになった髪を直すように律の手が撫でる。
「律先輩は優しいなぁ…誰かさんとは大違い!!」
いーっと志貴に向かって威嚇する宗也に、そろそろ離れろとでも言うように志貴が宗也の体を律の体から引き離す。
「二人共お待たせ。そろそろ行こう?」
いつの間にか朝食を食べ終え、トレイと鞄を持った律から志貴がトレイを取り上げ、それをそのまま宗也に渡す。
「すぐに置いて来ますから、待っていてくださいよ!」
「ごめんな、宗也!」
背中を追いかけてくる律の言葉に振り返る事なく手を振って廊下を走って行く宗也を見送る律の顎を志貴が掴んで顔を上げさせると唇を合わせた。
「んんっ…んっ…はぁあああっ!」
「今夜も…な?」
パチンとウィンクする志貴に顔を赤くしながらも律が頷くのを満足そうに見ながら、志貴が律の腰に手を回して廊下の先で手を振る宗也に向かい二人が歩き出した。
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