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第1話「赤い夕焼け」

 放課後、私たちはいつものように教室で喋っていた。空もオレンジ色に染まり始めそろそろ帰ろうかなと思っていると、さっきまで笑っていた加奈子が真剣な顔をしていることに気がついた。 「ねぇ、彩香ってさ、悟史君のこと、好き…だったりする?」 「え?なんで急に?」 「いいから!だって彩香、悟史君と小学校からの幼馴染でしょ?どうなのかなって…」  正直加奈子がどうしてそんなことを聞いてくるのか見当もつかなかった。 「悟史って、藤原悟史でしょ?いや別に普通だよ。仲のいい友達って感じ。それ以上でも以下でもないかな。」 「本当に!?じ、実はさ、私悟史君のことが好きなの!協力してお願い!」  そう言い加奈子は私の手を強く握りしめた。おとなしい加奈子がこんなに興奮しているんだ、本当にあいつのことが好きなんだろう。ただきになるとすれば… 「協力はするけどなんであいつ?もっといいのたくさんいるって!だってあいつ運動以外何にもできないのよ?」 「そんなことない!悟史君は優しいよ!文化祭のときだって私が人に押されて転びそうになったとき助けてくれたし…」 「え、その話、まじ?文化祭って結構前だよね?もしかしてその時から?」 加奈子は手で顔を隠してしまった。夕焼けの明かりが加奈子を赤く染めている。  少しスマホをいじった後、しばらく加奈子を見つめていると激しい足音がこっちに向かっていることに気がついた。そして、大きな音を立ててそれは勢いよく転んだ。 「いってぇ…」 そう言い、ドアに寄りかかりながら教室へと入ってくる。 「悟史君!?…だ、大丈夫?」 「せ、瀬田川?うん。大丈夫。心配してくれてあ、ありがとう…」 そう言い悟史は俯いてしまった。あれ?悟史ってこんなキャラだっけ? 「どうしたの?やっぱりどこか痛むの?」 「ほんとに、大丈夫だから。」 私を取り残したまま同じような会話が続いていく。 「なんだ。協力することもうないじゃん。」  すっかり赤く染まった空を見上げ私はそっと呟いた。

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