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第5.5話「いつもと違う朝」
「よう学!」
教室のドアを開けるとともに放った言葉は目的地を失いそして消えた。ドアの前で5分ほどぐるぐるしたのが無駄になった悲しさといつもならいる学の姿がない虚しさが悟史を襲った。
今まで体調管理をしっかりしている学が学校を休むことなどなかったが、やはり昨日のことが原因なのだろうか。
昨日、学に告白された。
俺はそれを酷い言葉で返した。
学のことが嫌いになったわけではない。ただ、俺は学に自由になって欲しかったのだ。
俺は、男を好きにはなれない。だけど学は俺のこと好きで、このまま俺のこと好きなままだとずっと辛い思いをしてしまうだろう。だったら俺のことを嫌いになったらもう辛い思いをしなくてすむんじゃないか?そう思ったんだ。
だけど、嬉しいとも思ったんだ。だから、何でキモいなんて言っちゃったんだろうって後悔してるんだ。もっと違う言葉は無かったのか?
本当は謝ろうと思っていた。どう接していいのかわからなかった。お前がいなかった時少しホッとしてしまった。
俺はそんな俺が嫌いだ。
いつもお前に頼っていた。親友という立場を利用してお前に負んぶに抱っこしてもらって楽して人生を歩んできた。それに…
「藤原~もうホームルーム始まってるぞ、席につけ。」
担任の声によって思考は一時停止された。
今日一日学のことばかり考えてしまった。考えてもわからないことだらけで疲れた。とても嫌な1日だった。
幸い明日は土曜だ。日曜には加奈子さんとデートの約束もある。しっかり休もう。そう思いつつも今日も部活はあるので部活へと向かうのであった。
今日はいつもより風が強く吹いていた。
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