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第4話

何時の事だったか、覚えていないが、祖父が築き上げた建設会社が朝比奈グループに吸収合併された。 正直に言えば覚えていない以前に、何が起きたかもよく理解していない。 そういえば、父が夜になっても帰宅しない日々が増えたなと、その程度の認識だった。 親はいつも忙しいし子供は塾や学校や習いものなどで、元々家族全員勢ぞろい何て滅多にないから、 子供の自分からすれば生活の変化など無いに等しかったのだ。 沈痛な面持ちをした家族を見ても共感はほぼ出来なかった。 要らぬことを言い怒らせるのは嫌だったから、時折真剣な顔で「大丈夫かな」等と当たり障りない言葉を口にしてみせたが、事実何が起こってるかはやはり良く分かっていないので大人たちの心労など正直どうでも良かった。 やはり、他人事だったのだ。 だから――自分一人がはっきりと理解しきれていなかったからか。 このお祭り前夜の浮かれ様に一人取り残されていた。 要するに、父及び家族全員が路頭に迷わなくて済んだのは、会社を合併してれた朝比奈様のお陰と言うわけだ。 その朝比奈様の中でも本家のご子息が来訪する。 ただ、それだけで舞い上がる両親に何とも言えない気持ちになった。 自分よりも幼い少年相手に良い大人たちがこの有様とは。

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