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第5話

その子の親が相手ならまだ分かるが、来客は子供だ。 その子が父を助けたわけではない。 家族が路頭に彷徨う所を救ったわけではない。 その子は確かに父の上司に当たる人の子供かもしれない。 しかし、それだけなのだ。 子供ながら反発を抱く。 自分は彼らの子供で、相手は他人の子供だ。 それなのに、実の子供以上に他人の子を尊重するのは何故だ。 父親の方が大人なのに、何故へりくだる必要があるのだ。 親のそんな姿を見て幻滅した。 赤面するほどに恥ずかしかった。 屈辱に近い嫌な気持ちを味わう。 しかし自分以外の誰一人として理解はしてくれない。

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