14 / 218
第6話
誰も彼もが浮かれていた。
それに相反して、自分だけは冷めていた。
不愉快といっても過言ではない程に嫌だった。
そんな大事な相手――しかも子供――をこの家に招くだけで、大騒ぎになる位なら、ホテルでも老舗料亭でも他に場は山ほどあるだろう。
接客のプロが揃っているのだから、慣れぬ持て成しで大騒ぎの我が家よりは、万が一などと言う失敗も無いはずだ。
遠まわしに口にしたら兄は
「お前、自分よりも格下の相手と付き合う場合、相手がどんな家に住んでいてどんな生活していて、どんな教養の持ち主なのかとか書類だけで分かるのか?実際目にしないと不安だろうが」
と頭の悪い自分に分かりやすいように、子馬鹿にしながらも教えてくれる。
だが最も知りたい事は分からなかった。
巨大企業を経営する一族本家の子供が訪問をする。
それだけだ。
何故、そこまで値踏みされなくてはならないのか。
意味不明だ。
ともだちにシェアしよう!