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第6話

放っておくなど出来ない。 彼の救いになりたい。 孤独を癒したい。 彼の唯一になれるのであれば何でもしようと誓った。 自分を理解してくれるのは彼しかいない。 同様に彼を理解できるのも自分だけだ。 しかし離れて改めて思い知ったのは心一つではままならない現実だ。 まず立ちはだかったのは家柄だった。 そもそも彼がこの家に足を運んだのは、縁談の為だ。 彼自身の将来を朝比奈家の為に奉げるのだ。 愛も無く恋も存在しない。 大人の政治道具として未来を捧げる。 そしてまた、自分も同じように秋庭家の一部としてしか見て貰えない。 秋庭家の人間だから、彼の視界に入れたのだ。 彼が関係構築の為に心を砕いていた事を義務と思われるのは悲しかったから。 歪なそれを失くして、互いの持つ心と体以外のすべてをそぎ落として唯の個として向き合いたかった。婚姻と言う形で縛り付ける関係を解消し、違う形で結びつきを手に入れなくては、錦には届かない。

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