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第11話
一人で時間を持て余したとき、錦の事ばかりを考えていればあっという間に時間は過ぎた。
彼が側に居る時は孤独では無かった。
孤独ではないのに、傷つけられる事は無かった。
誰かと一緒に居る事が傷つけられる事ではなく、喜びを感じる事なのだと感じたのは錦に出逢ってからだ。
孤独は、寂しい事なのだと思い出させたのは錦だ。
死んだ感情を浮き彫りにしたのも彼だ。
知らなかった安らぎを得れば、孤独がいかに苦しい物か思い知ることになる。でも、傍に居るのは誰でも良い訳ではない。
一番大事だと思う人が傍に居てこそ、安らぎを得ることが出来る。
物思いに耽り気がつけば一時間は経過している。
用意された朝食はすでに冷めていた。
それを温め直すこともせずに口に運びながら、彼との思い出は既に一年経過している事に寂寥感を覚える。
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