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第4話

ため息をつく。回りくどい。 やはり、言いたい事があったんじゃないか。 食事を終え、入浴後に自室の本棚の前に立つ。 植物図鑑を引っ張りだし、ページをめくる。 アネモネは直ぐに分った。 学名、和名、科名属名、原産国、園芸分類、形態、開花期と言った基本情報に目を通す。 絵と結びつく紗江の感情を読み取れる情報ではない。 赤いアネモネの写真の下に「君を愛す」「燃え上がる情熱」と言う花言葉が紹介されていた。 白色は「真実」「希望」「期待」と前向きだ。 次にクナウティアを調べるが、マイナーなのか図鑑には記載されていない。 芙蓉を調べると、三頁にわたりアオイ科の花で一纏めにされて居る。 葵の花言葉は「高貴」「優しさ」「豊かな実り」等。 芙蓉は「繊細な美」だ。 そこで、ふとページをめくる手が止まる。 中心部に向かい色を濃くする花を見ていると、微妙な違和感。 花の色は種類により様々だろう。 錦が気になったのは、雄しべと雌しべの形状だった。

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