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第4話

不思議な絵だった。 柔らかく繊細なタッチで描かれるのは、やはり小箱と花。 小箱の中には溢れるほどの土が詰められている。 その土に半分ほど埋もれた小瓶。小瓶の中で咲くのは薄紅色の桜の花。 瓶の細い首にボトルタグがついていて、アルファベッドで何かがかかれているが文字は小さくて見えにくい。下書きの鉛筆が擦れている為、何が書いているのか全く分らない。 かろうじて『D』らしき文字が見える。 ――だから、お前は何がしたいんだ。 錦は僅かな苛立ちを覚え、絵の裏を見る。 普段は描かれていないメッセージに、目を見張る。 『返事は要らないよ。錦君、さようなら』 返事はいらないという癖に、何かを問いかけてくる。 一方的に送られるメッセージ程質の悪いものは無い。

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