21 / 66

第21話

〜1時間前〜 「ご飯だ!」  プレートに盛られた具だくさんライスを見て、セイジュは心の底から興奮した声を放った。 「あ、あの、すみません! あ、タメ語だった! あの、クロイゼン! 俺やっぱ人間だから固形物を食べないと生きた心地がしないんだよ! 何とかエネルギーでも心臓は止まらないけど、このご飯、食べてもいい?」  クロイゼンは鼻で笑い、 「こんな残飯でそこまで喜ぶとは、おまえの村は本当に貧しかったんだな」 「いいから早く、手首だけでいいから封印解いて。頼む! それに国民が貧しいのは統治者の責任ですよ、王子様」 「好きにしろ」  痛い所を突かれたクロイゼンは右手の人差し指をピンと立て、くるっと円を描いた。封印が解かれたセイジュはタオルを膝に置き、プレートをその上に置き、スプーンを手に取って、 「いただきまーす!」  と満面の笑みで食事開始を宣言した—— ——のだが。 「あれ?」  首を傾げながら混ぜご飯をスプーンでぐるぐると混ぜまくっているセイジュを見て、クロイゼンは目を細めた。 「どうした、食わんのか」 「いや、黒露の葉が入ってるんだ」 「こくろ?」 「うん、珍しい、細かく切ってある。黒露の葉自体は、一枚で俺の顔くらいの大きさで、生で食べれば人間には毒なんだ。でも、ペーストになるくらいまで刻んで火を通して、乾燥させたら毒素は飛ぶ。王宮では違うのかな? 目視できるくらいのサイズだし、乾燥させたようには見えないけど」 「王宮の料理とあの田舎村の風習を比べるな」 「んー、そうだね」  そう言ってセイジュはスプーンを握った。

ともだちにシェアしよう!