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第41話:急展開
「予想外だった」
「予想、外って、何が?」
「おまえの存在がだ」
「え、今クロイゼン、俺の存在意義にダメ出しした?」
「違う! おまえは何も分かっていない!!」
本気の叫びだったので、セイジュは黙り込んだ。
「今の俺に、おまえを抱く資格があるとは思えない。おまえの意志を無視して娶ると言って、おまえの言葉を借りれば拉致監禁した。そしておまえが恋や愛情、それに付随する性行為を知らないことを面白がって調教してしまった。予想外だったのは、おまえの淫乱っぷりと……」
セイジュは続きを待ったが、クロイゼンは黙り込んでしまった。
「今俺は、おまえを調教するのも楽しいが、もっとおまえ自身のことを知りたいと思っている。おまえと……話がしたい」
「じゃあ、俺の部屋でお茶でもしながら話そうよ! 俺も、クロイゼンのこと、もっと知りたい! そうすれば——」
「クロイゼン!!」
部屋の灯りが赤くちらついた次の瞬間、ドアが開き、黒髪をばさばさと揺らしながら、近衛兵のアヴィリードが現れた。
「アヴィ、何事だ?!」
「おまえの予想通りだ、村人が動いた! 今は軍がラリーハリー川で食い止めているが、いつ突破されてもおかしくない!」
物凄い剣幕でまくしたてたアヴィリードに対し、セイジュは聞き捨てならないひとことを発見した。
「……村人?」
クロイゼンが舌打ちする。
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