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フラッフィが住む島 (13)

 藍星は翠理の背中にぴたりと体をくっつけて、 「もう、甘いものばっかり食べると太るよ、」 「藍星だって食べたいくせに、」  翠理はそう返すと、もうひとつもぎ取って藍星に手渡した。 藍星はそれを素直に受け取って、小さくかじってもぐもぐと咀嚼する。 口の小さな藍星の食べ方は、幼い頃から成長しない。  翠理にはそれが可愛いく映るのだが、少しずつしか食べられず、食事に時間がかかることを気にしている藍星は、食べている最中に可愛いと言うとむくれる。 だから翠理は心の中にとどめておいた。  ふたつ目の桃をぺろりと食べきってしまい、みっつ目に手を伸ばそうとしたら、さすがに藍星に止められた。 「ねえ、もう学校行こうよ、」  翠理はあまり気乗りしなかったが、藍星がどうしても学校に行きたそうなので、仕方なく木の上から飛び降りた。 藍星もあとに続く。  ふたりは競争をするように、校舎が建っている方角へ向かって駆け出した。

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