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第13話

 十分に馴染ませたせいでぐずぐずになった蕾は下からのピストンを難なく受け入れる。ギシギシと音を立てるベッドの上で、セイランの身は確実に熟していく。揺すられる度にさらさらと流れる赤色の隙間から、快楽に酔いしれ、きゅっと閉じた瞼と自分の親指の付け根を口に含ませるセイランが見える。熟知しているかのようなルピナスの動きは、的確に気持ちがいいところに触れてくれる。 「ん、んっ、ぁ、んッ……! ふ……ぁ、まって、まって、ッ!」 「待たない」  激しくなる動きは、体重の乗った熱をセイランにもたらしていく。性急な行為に、セイランは思わず腰を反らせルピナスから逃れようとするが、抱き締められた状態ではそれは叶わない。貪るようでありながら乱暴ではない、そんな刺激にセイランがびくっと体を痙攣させるまで、長くかからなかった。 「は、ぁっ、ぁ……」  ルピナスの腕の中で達したセイランは、ゆっくりと肩で呼吸を紡ぐ。その間も、後孔は脈打ち、きゅんきゅんと収縮を繰り返していた。それはまるで、物足りないと言うように。 「わ……! へ? ぇ、ぅあ"ッ! いまイった、っアぁッ!」 「知ってる」  もはやセイランが「自分でやる」と話していたことは二人の頭にはなかった。ルピナスは抱えていたセイランごと寝返りを打ち、今度はセイランを仰向けにし、自分は正面で腰を落ち着けズッとまた腰を進める。容赦なく先ほどと同じくらいの激しい律動が再開され、達したばかりだったセイランは体を震わせる。 「ぁうっ、あ、っ、あ"……ッ!」 「きもちい?」 「う、っ……きもち、ぃ……ひゃぅッ!」  まるで媚薬を呷ったかとでも言うような激しい熱。それはセイランを頭も体も芯から快楽の虜にしていた。  まだ足りない。もっともっとルピナスが欲しい。気持ちよくなりたい。ルピナスに犯されたい。  そんな性欲で満ち、最上の恍惚を見せるセイランに向かってルピナスはく、と頬を吊り上げる。 「セイラン、今誰に犯されてるの?」 「ぁ、る、るひ、なすっ……あッ!」 「どうして欲しいの?」 「ぁ、あっ! もっとッ……、もっときもちいの、ほしぃ……っ、うァッ!」 「そう、上出来」  少し上体を倒して、より奥を狙いながら律動は緩めずに。ルピナスが優しい声色でセイランに囁くと、セイランは必死でその声を聞き取り、言葉を返した。快感で震える唇を戦慄かせながら、健気に望んでいた言葉を作ったセイランを、ルピナスはそっと上から覗き込む。楽しげな桃色と、蕩けた赤紫が重なりあう。 「いいコにはご褒美」 「は……、ぁっ、あ、あ"ァッ!」  瞬間、セイランの体をぞっとするような寒気がなぞる。かと思えば、今度は指先まで性感帯になったようなひりつく感覚が全身を覆う。この感覚は知っている。これは、あの時と同じ、頭の中がボーッとして、気持ちがいいことしか考えられなくなるもの。  ただでさえ敏感だった体が、より快感を拾い体と頭を壊していく。おかしくなりそうだと思いながら、セイランにそれを拒む気力はなかった。  ルピナスの堅い先端が狙いすましたようにそこを突いてくる。その度に情けない声がセイランの口から溢れていく。突かれる度に絶頂するようだった。比喩ではなく、実際にピストンに合わせて何度も達し、腰を反らせて痙攣させていたのだが、セイランがそれに気づく余裕はなく、ただただルピナスに啼かされながら、感じたことのない快楽に飲まれていた。  そしてルピナスが自分の欲をセイランに向けて吐き出した頃には、セイランから応答はなく、涙と汗でぐちゃぐちゃになった顔を虚空に向けてただ快楽の余韻に浸っていた。ひくひくと収縮を繰り返す後孔も、ぴくぴくと震える腰も無視して、未だに残る淡い絶頂感を連れて、セイランは意識を闇に落とした。

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