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第12話
ルピナスが黙って下半身をベッドの上に持ち上げると、セイランはそれについて同じベッドに上る。自ら下着を下ろして下腿を露わにし、両足を開いてルピナスの上に乗る。腰の辺りで膝立ちになったセイランは、後ろ手にルピナスのものに手を伸ばし、自分の後孔に触れさせた。
「っ、あッ、く……っ、」
セイランの腰が落とされ、ルピナスを飲み込んでいく。自分でしっかり弄っていた様子のそこは、ルピナスの陰部を難なく包み込んでいった。完全に腰が下ろされ、肌と肌が触れ合うとき、ようやく訪れた求めていた快楽に、セイランの表情が達しそうなほどの恍惚の朱に染まる。セイランの後孔が嬉しそうに脈打つのが、肌を通して伝わってくる。そんなあまりにも性的な姿は、ルピナスの気分も同時に高めていく。
「ん、んっ……」
うりうりと感触を確かめるようにセイランは腰を前後に動かす。下から見上げるその様は艶めかしいことこの上なく、ルピナスは突き上げたくなる気を静めるため、視線を腰からセイランの表情に移す。猫のようにくねくねと腰を動かしながら、セイランは片手を口にあて先端が狙った場所に触れる度に上がりかける声を必死に堪えていた。
そのセイランの姿が、不意に差し込んだ月明りに照らされ、美しく縁どられた曲線が闇の中に浮かび上がる。
「……、」
「っあ……ぅ、あんま、みないで……」
その光が顔を照らし、咄嗟にセイランは口に当てていた手を首に移した。隠そうとした首にあるのは、多量の古い傷跡だった。そこだけでなく、セイランの素肌には至る所に生傷があった。首だけでなく、肩口、腕や大腿。見える部位すべてが傷つけられていた。
それらはすべてセイランが衣服で隠していた場所。魔物の仕業とは考えられない傷のつき方。それに対してルピナスは何も言わず、そっと瞼を閉じる。
「見てないよ」
「ん……、」
お互い、今そんなことに時間を割く余裕はない。昂った状態のセイランに、萎えるようなことを言って水を差すつもりはルピナスに一切なかった。セイランはルピナスが目を瞑っていることを理解すると、また緩やかに腰を前後に動かし始める。
そうして胎内に十分に馴染ませると、セイランは少し上体を反らし、今度は上に突き上げるように腰を動かし出した。先ほどもよりも小刻みで早い動きのそれは動く度に上手くルピナスの自身もくいと引き上げられ、確かな快楽が二人の間に生まれる。
「ふ、ん、ん……っ」
堪えきれず溢れる吐息が、セイランが快感を得ている証だった。こっそりとルピナスは瞳を開き、セイランの様子を覗き見る。すると、下半身に向けた視線に、二人の結合部がはっきりと見え、動く度ひくんひくんと腰を跳ねさせ喉を震わせるセイランに、思わず体が反応してしまう。
「ひぁっ! ぁえ? な……、あッ!」
セイランの体が下ろさせるのと同時に、ルピナスは膝を曲げ腰を据え、ずんと奥を穿つ。急な刺激に、びくっと体を震わせるセイランの手を掴み自分の方へ引き寄せる。ルピナスは倒れてきたセイランの体を抱き留め、逃がすまいと膝をさらに曲げ体を固定する。そして状況を理解していないセイランを無視して、散々堪えてきた欲を解放する。
「あうッ……、あっ、あ、あ"っ!」
「……セイラン、声」
「あっ……! っ、く、ぅっ……、ぅんッ!」
下から突き上げられる動きに堪えきれず、甘い声で啼かされるセイランの耳にルピナスが口を寄せ低く呟くと、はっとして手のひらを口にあてる。必死に堪えようとするが、内蔵を圧し上げられる度にどうしても出てしまうくぐもった声がルピナスの鼓膜を揺らしていた。
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