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第67話

 荒々しく腰を振られ、貫かれるのも引き抜かれるのも痛くて喉がひきつる。暴れるような勇気はとっくに萎んでしまっていた。それでもそんな暴力的なセックスを何度も経験しているセイランは、それでも身を震わせてしまう。 「ひぐッ! ぁ、ぐ、あ゛ぁッ!」  適当にしておきながら、奥まで届かせてくる男の行為にセイランは苦しげな声をあげる。腰を持たれ、セイランは衝撃から体を前に逃がすことも叶わない。肌がぶつかりあうパンパンッという音は、嫌でも今自分が犯されている事実をセイランに叩きつけた。 「ひぅ、ぅ、ぁ、あッ」 「はは、いい声でてきたな」  激しく体を揺すられ、何度も何度も体内を刺激される内に、ルピナスの頭は犯されることに快楽を見いだしていた。申し訳程度だった潤滑油がぐちぐち音を立て始める。声が、止まらない。だってどうせ犯されるなら、痛いより気持ちいい方がいいから。頭が勝手に感じる方向に変化していく。  男は自分が突くのに合わせてセイランの腰を後ろに引き寄せ、密着をより深くする。それにより男の質量のある性器が精嚢に届いてしまう。それはセイランに視界が眩むような刺激を与えた。男の性器の長さがそこに届いてしまったのが、運のツキだろうか。そこをズンズンと貫かれ、腰が揺れて止まらない。 「あぅ、あぁッ! でる、でちゃう、そこおしたらでるからァッ!」  精嚢に溜まっているものが押し出されていく感覚。それは尿道まで震えて、触られていないのに達しそうな感覚がセイランを襲う。首を左右に振って拒絶しても、律動は止まらない。むしろその反応を待っていたかのように、押し出すように強く奥を何度も突き上げられる。速度よりも深さを意識した責め方。込み上がる欲が押さえられない。 「ぅんッ……、ぁっ、くる、イ、くッ、――ぁ゛ッ!」  背中が浮いて、ビクッと腰が震える。押し出されて吐き出したものが腹を濡らしていく。錠でつながったままの両腕で真っ赤になった顔を隠して、髪を握りしめる。そうしたところで終わらない快楽が止まるはずもない。 「ぁぅッ、あ、ひっ……、あ゛ァッ!」 「はは、情けねぇ顔」  突かれる度に尿道に残っているものが次々と押されていく。それは性器も後孔もすべてに快楽が与えられているようで浮いた腰が震えて止まらない。突かれる度にビクンと腰を跳ねさせてうち震え、淡い快楽に意識が飲み込まれていく。 「んぅぅ……、ふ、ぁッ! も、でない、ィッ!」  それを何度も繰り返し、セイランは数度に分けて射精を続ける。吐き出すものがやっと無くなって、落ち着こうとしたセイランの浮いた腰をそのまま支えた男が、角度を変えて今度は激しい律動を送り込んでくる。単純な中を擦られる快感。達したばかりの頭に強い刺激が与えられ、思考能力を奪っていく。  そんなぐちゅぐちゅとした性交の音が響いている地下牢に別の音が増えていることにセイランは気づく。いつの間にか誰かがまたこのフロアに訪れている。足音がこちらに向かっている。セイランは快楽の中で、震える唇を噛む。  ギルドにいた頃は、こうやって時間も場所も構わず犯されるのなんて日常茶飯事だった。深夜に帰宅した構成員に仕事の不満をぶつけられたり、朝勃ちしたからヤらせろと言われたり、ギルドのカウンターの裏で暇だからしゃぶれと言われたりなんてこと、もはや慣れてしまっていた。拒絶すれば酷くされるだけだと最初に触れられた時に教えられたから。暴れることも最初から止めてしまった。  どうせこれからまた気が済むまで輪姦されるのだろう。セイランは諦めきった感情のない表情で早く終われと頬を濡らす。  足音が近づいてくる。それは、やはりセイランの牢の前で止まった。その人物はすぐには牢に入っては来ず、外からセイランを見下ろしていた。だが男が前にいるせいで、それが誰かは分からない。すると男は不意にニヤリと頬を吊り上げると急にセイランの頭部に手を下ろし、前髪を鷲掴む。一瞬床に頭を叩きつけられるのかと感じたセイランは思わず身を庇うが、想像に反して男は一旦体を引き栓を抜くと、頭を飛ばして牢の鉄格子の前に倒される。  それから男はセイランをうつ伏せにすると、後ろから再び挿入を始める。尻を持ち上げ突き出させ、容赦なく腰を振る。 「あっ、ぅ、あ゛ッ!」 「ほら、やらしい顔見せろよ」  再び襲う快感に、セイランは床に置いた両手に額をつけるが、後ろから髪を掴んで顔を持ち上げられる。そうされて、まだ外から覗いていた人物がそこにいることに気づく。 「は……、ぇ?」 「はしたないな、そんなによがって」  目の前にいたのは、先ほど研究所でセイランたちを襲った男。セイランの養父にして、ルピナスの実父でもあった、ストリキ・ラピュアだった。ストリキはやはり蔑んだ目付きでセイランを見下している。  相手が養父だとようやく気付いたセイランは、一瞬で火照っていた顔を青ざめさせる。こんなことをされていると、一番知られたくなかった相手。それが今、目の前にいる。 「っ、なんで……! みないでッ、ひぁッ! あ、あっ、み、ないでっ!」 「いいねぇ、最高だ」  セイランは嫌がって腰を逃がそうとするが、背後の男は前に追撃するように責めを続ける。セイランは必死で首を振って、「見ないで」と何度も泣き叫んだ。だが目の前のストリキはそこから動こうとせず、犯されながら泣き喚くセイランの姿を見下ろしていた。

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