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第16話
2ー4 側室のお勤めですか?
男の下腹が勢いよくぶつかってくる。
「あっ!あぁっ!」
男のものを根本まで咥え込んで、俺は、目尻に涙を滲ませた。
男の指先が俺の目元に触れた。
優しく涙を拭ってくれる。
俺は、ゆっくりと目を開き、男の方を見上げた。
「やっと俺の方を見たな、セイ」
「・・あっ・・」
男は、俺に切羽詰まった様子で言った。
「優しくしてやりたかったが、これ以上は無理だ。許せ」
「あっ!」
男は、俺の腰を掴むと激しく打ちつけ始めた。
じゅぶじゅぶという水音がして俺の体が快感に開かれていく。
「はっ、あぁっ!・・んっ!」
俺は、思わず男の両腕に爪をたてた。
「も、だめぇっ!これ以上・・壊れちゃう!」
「壊れてしまえ、セイ」
男が息を乱して囁いた。
「もう、2度と他の男に抱かれることがかなわぬように」
「あ、あぁっ!」
俺は、男に抱かれて初めて達して、そして、そのまま意識を手放した。
翌朝。
1人ベッドで目覚めた俺にあの2人がかし付いていた。
「お目覚めでございますか、イガー様」
「んっ・・」
俺は、はっとして体を起こした。
痛みが体の奥から走って、俺は、顔をしかめた。
「っ・・!」
「無理はされないようにとのお言葉でございます」
茶髪の男が俺に手を添えてその背にふかふかのクッションをいくつかあてて体を固定してくれた。
ベッドになんとか体を起こした俺に、2人は、深々と礼をとった。
「おめでとうございます、イガー様」
「はい?」
俺がきょとんとしていると、2人はにっこりと微笑んだ。
「側室としての初めてのお勤めを無事にすまされたことよろしゅうございました」
ええっ?
俺は、2人に訊ねた。
「昨日の、あの男が王様だっていうのか?」
「はい」
2人が頷いた。
「この後宮に入れる男は、あのお方だけでございます」
「えっ?」
俺は、奇妙なことを言う2人に訊ねた。
「あんたたちだっているじゃないか」
「私どもは、宦官でございますから」
「宦官?」
俺は、言葉に詰まった。
宦官とは、男のものを切り取られた者のことをいう。
「そんな・・」
「これで、あなた様は、正式に側室のお一人になられたわけでございます」
茶髪の男が俺を見つめた。
「私は、あなた様の侍従をつとめます。クレイと申します」
「私は、ラウスと申します」
「どうか、なんなりとお申し付けくださいませ」
俺は、腹が減ってベッドから降りようとしたが足が立たなくてくたりと床に座り込んでしまった。
「なんでだよ?」
俺が呟くと、クレイが手を貸して俺を立たせながらクスクスと笑った。
「アルファのお方のお相手をされると、たいていは、そのようになられるものでございます」
「王も、今日は、ゆっくりせよとのことでございます」
はい?
俺は、かぁっと頬が熱くなった。
あいつ。
この前まで童貞で、俺に抱かれて泣いていたくせに、偉そうに!
俺は、結局、その日1日ベッドの上で過ごした。
クレイとラウスは、ほぼ寝たきりの俺の世話をかいがいしくしてくれた。
下の世話までしようとするものだから、さすがにそれは断った。
「無理だから!」
「左様でございますか?イガー様」
なぜか、少し残念そうな顔をしている2人に、俺は、言った。
「セイ、でいいよ」
「はぁ」
2人が顔を見合わせる。俺は、もう一度繰り返した。
「セイでいいって」
「わかりました、セイ様」
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