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第27話
3ー3 図書館
俺は、さっそく図書館へ出掛けることにした。
ラウスは、俺にフード付きのマントを羽織らせた。俺は、フードを被せられ全身をすっぽりと覆い隠された。
「決して、 声は発さないでくださいね。何かを外の者と話す必要のあるときは私を通してください」
ラウスは、俺に言うと、俺を王宮の図書館へと案内した。
王宮へと続く大きな扉の前は屈強な兵士たちが警備していた。
ラウスは、彼らに王から渡されたという許可証を差し出した。
すると、兵士たちは、俺たちを通してくれた。
俺は、久しぶりに後宮の外へと出た。
後宮の外には、長い回廊があり、そこを抜けていくと図書館があった。
ラウスが扉を開いた。
なんだか、古い、かび臭い臭いがした。
中に入っていくと、そこには、壁一面の本が並んでいた。
俺は、高い天井まで続いている本棚を見上げる。
「上の方の本は、どうやってとるわけさ?」
俺は、ラウスにきいたが、彼は、答えなかった。
「どのような本をお探しですか?セイ様」
ラウスに問われて、俺は、薬学と薬草の本を探していることを伝えた。
ラウスは、俺の要望をきくと、それを図書館にいた老人に伝えた。老人は、俺を 好奇の目で見ていたが、ラウスの言葉に頷くと口笛を吹いた。
数匹の猿がどこからか老人のもとへと集まってきた。
老人は、猿たちに命じた。
「このお方のお探しになっている本をお持ちしろ」
猿たちは、四方に飛び散っていった。
俺たちは、しばらくそのまま待っていた。
すぐに猿たちは、それぞれ本を持って戻ってきた。
老人は、本を調べると、その内の一冊を手に取り妙な顔をした。
「なんで、『魔王の国』なんて本が入っているのだ?こんなもの、このお方は、ご所望にはなられていないぞ」
「いえ」
俺は、慌てて言った。
「なんか、読み物もほしかったので」
「セイ様!」
ラウスがきっと俺を睨み付けた。
老人がにやりと笑った。
「さあ、ご所望の本は、5冊。そうぞ、お持ちくだされ、セイ様」
俺が受け取ろうとすると、ラウスに制された。
ラウスは、無言で重そうな本を受けとると、それを軽々と抱えて俺の先を歩いて図書館を出ていった。
「ありがとうな、じいちゃん」
俺は、老人にそっと囁いてから、ラウスの後を追った。
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