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第40話

4ー3 アルテミア 「イェイガーにも、そう言われたのですか?」 アルテミアさんが顔をしかめた。 なんで、そんな難しい顔をするわけ? 俺は、ほんとにただの人間なのに! 「あなたは、確か、孤児でしたね?セイ様」 アルテミアさんが俺に問うたので、俺は、頷いた。 「北にある魔物の森に捨てられていたところを神官で育ての親のエドに拾われたんだよ」 「それは、25年ぐらい前の話でしたよね?」 アルテミアさんがきくので、俺は、答えた。 「そうだけど」 俺の返事をきいたアルテミアさんは、ラウスとクレイに向かって言った。 「これから、しばらくの間、セイ様をお借りしたい。よいな?2人供」 「は、はい」 「しかし、セイ様は」 アルテミアさんが2人を黙らせた。 「これは、王の兄であるマージナル・ルナ・アリスティアの命である。セイ様、一緒に来ていただけますね?」 「アルテミアさんって、何者なの?」 俺は、ラウスに訊ねた。 俺たちは、今、アルテミアさんの手配した馬車に乗り込んで国境の町ザナドクスを目指して進んでいた。 そこに、王がいるのだという。 ラウスは、俺の問いかけに答えることを少し、躊躇した。 「これは、公然の秘密でございますが、アルテミア様は、前王の隠し子であられるのでございます」 王の父さんの隠し子? 「前王が平民の娘にお生ませになったお子があの方なのです。つまり、本来なら現王の兄上となるお方なのでございます」 マジですか? 俺は、アルテミアさんの面影を王と重ねてみた。 そう言えば、どことなくあの2人は、似ているのかもしれない。 たたずまいとか、雰囲気とか。 髪の色は違うけど、瞳の色は同じだしな。 「でも、なんで、アルテミアさんは、禁を犯してまで俺を後宮から連れ出したわけ?」 アルテミアさんは、俺をみんなに内緒で連れ出したのだ。 今、俺の部屋には、クレイとデザスタだけが残されている。 俺は、まだ体調不良のため床についているということになっているのだ。 「このことが皆に知られれば、アルテミア様もただではすみません。それにも関わらず、あなた様を連れ出されたのでございますから、きっと何か深いお考えがあってのことと思います」

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