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第41話

4ー4 外の世界 俺は、久しぶりの後宮の外だったが、羽を伸ばすという気分でもなかった。 後宮に入ってから、俺は、ほぼ全裸といってもいいような衣装ばかり身に付けていたので、普通の市民の着るような白いシャツに黒いズボン、茶色のフードつきのマントといった服装が、なんか、息苦しく感じていた。 それに。 俺は、聖剣イェイガーを伴っていた。 「なんとか、何事もなく事態がすむことを祈りましょう」 ラウスが落ち着かない様子で体をむずむずさせている。 ラウスも、俺と同じような市民の格好をしていた。 彼ら、宦官は、人生のほとんどを後宮で過ごすのだという。 街に買い物やら遣いに出ることはあっても、こんな遠くまで後宮を離れて出掛けることはめったにないらしい。 今回、何日も後宮をあけることになると聞かされたラウスは、不安げな表情をしていたけれど、俺に同行することは、自分の使命だといい、俺にどこまでもついていくと言い張った。 俺も心細かったから、そのラウスの気持ちが嬉しかった。 実は、俺もエドに拾われてから王都を出るのは初めてだった。 俺たちを乗せた馬車が 王都の周りを取り囲む壁の外に出ていくとき、俺は、なんだか寂しさを感じていた。 もしかしたら、俺は、もうここには帰ってこれないのではないか、といいう予感があった。 俺の予感を感じ取ったのか、ラウスが俺を深刻な表情を浮かべて見つめた。 「もしかしたら、アルテミア様は、この度の王に対する不貞を告白して許しをこわれるおつもりなのかもしれません」 不貞。 俺は、時間がたつにつれて自分のやってしまったことの重大さが理解できてきた。 後宮の側室が王以外の男に抱かれるということは王への裏切り行為だ。 俺とアルテミスさんは、そこまでの関係じゃなかったけど、ほとんど抱かれたのも同然だし。 もし、王に知られたら、問答無用で俺は、死罪になるのが普通だ。 「しかし、場合が場合ですし、それに、セイ様は、ベータであらせられますから、その・・」 ラウスが言葉を濁した。 確かに、抱かれれば子ができるかもしれないオメガに比べれば、ベータの俺は、罪が軽いのかもしれない。 だけど。 俺は、複雑な気持ちだった。 今まで、何十人、何百人という男たちに抱かれてきた俺だったけれど、王ほどに俺を深く抱いた男は、他にはいなかった。

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