６ー11 喧嘩はやめて！ 俺は、ロリアを制するとアルモナス王に訊ねた。 「あの、そんなことより世界が滅ぶってどういいうことなのか説明をしてもらえませんか？」 俺は、だんだん不機嫌になってきていた。 俺に睨み付けられていることに気づいたアルモナス王は、咳払いをして話始めた。 「この世界と人の子の世界は、この城の下、滝の水が流れ込んでいる穴で繋がっています。この水は、人の子の世界で瘴気と呼ばれるものです。瘴気とは、魔王の魔力の流れ出したもの。我らにとっては、生きるために必要なものなのです」 「ということは、この穴の中に飛び込めばもとの世界に戻れるのか？」 ロリアがきくと、アルモニア王は、慌てた。 「それは、やめた方がいい。どのような屈強な兵士であってもこの瘴気の流れには堪えられん。人の子の世界には、死体も流れ着くことはあるまい」 マジですか？ 俺は、アルモニア王に訊ねた。 「じゃあ、俺たちは、どうやってもとの世界へ帰るんです？」 「たった１つだけ、方法がある」 王は、答えた。 「魔王を倒すことだ」 ええっ？ 魔王を倒さなきゃ、もとの世界にもどれないんですか？ 俺は、血の気が下がるのを感じていた。 「大丈夫だ、案じることはない」 アルモナス王は俺の手をとった。 「御子よ、そなたには、２つの選択肢がある。１つは、魔王を倒してもとの世界へ帰ること。もう１つは、私の花嫁となること、だ」 はい？ 俺は、瞬いた。 花嫁ですと？ 「もちろん、腹の子は、私の子として面倒をみよう。どうか、私の妻となり、この世界の妃となってくれ」 ええっ？ 俺が驚いていると、ロリアが叫んだ。 「いけません、兄上！騙されてはなりません！」 ロリアは、俺の手を握るアルモナス王の手を振り払った。 「こやつの目的は、兄上の体です！お気をつけください！」 「バカなことを！」 アルモナス王がロリアのことをバカにした様に笑った。 「お前こそ、御子の体を狙っているのではないのか？」 「そんなわけが、ないだろう！」 ロリアが、口ごもる。 「あ、兄上は、兄上で・・とにかく、私は、そんな下心など、ない！」 「どうだかな！」 ２人が睨みあってなんかの呪文の詠唱を始めている。 やばい！ どうしたらいいんだ？ そのとき、俺の首もとの黒い首飾りが閃光を放った。