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第74話

6ー12 魔王討伐! 「イェイガー!」 『主よ!我を手に取るがいい!』 俺は、剣の姿になったイェイガーの柄を両手で掴んで2人に向かって叫んだ。 「やめろ!2人とも!」 「「何!」」 イェイガーが一瞬巨大化したかと思うと2人がヘナヘナっとその場に座り込んだ。 「くっ・・それは、魔剣イェイガー、か?」 「まさか、兄上が、そのような物をお持ちだとは・・」 俺たちは、再び、話し合いを再開した。 今度は、イェイガーの立ち会いのもとである。 テーブルの中央に浮かんだイェイガーにロリアとアルモナス王は、気まずそうな表情を浮かべている。 どうやら、イェイガーは、魔物や、魔人といった存在の魔力を吸い取る力を持っているらしい。 「しかし、御子がまさか、魔剣イェイガーをお持ちとは。驚きましたな」 アルモナス王は、ひきつった笑顔を見せた。 「これなら、我らの世界を救うことも容易いでしょ」 マジですか? 「それどころか、人の子の世界に戻ることも可能かもしれません」 「ならば!」 ロリアが立ち上がった。 「すぐにでももとの世界へ!」 「いや、さすがの魔剣でも今すぐには無理だな」 アルモナス王がロリアを小バカにするように笑った。 ロリアが、ムッとして王を睨んだ。 「なんだと?」 「この魔剣で魔王の力を吸い取ることで、もとの世界へ帰ることが可能になるやもしれない、と私は言っているんだ!」 魔王の力を吸い取る? そんなことができるのか? だが。 俺は、立ち上がるとイェイガーを手にした。 やらなくては、ならない。 もとの世界に戻るために! 『しかし、なぜ、魔王は殺されるのだ?』 イェイガーがアルモナス王に訊ねた。 アルモナス王は、イェイガーにびくつきながらも答えた。 「それは、魔王が瘴気を浄化しているからです」 ええっ? 俺は、アルモナス王を見た。 「なんで魔王が自分の魔力を浄化してるわけ?」 「それは・・」 アルモナス王が俺に語ったことによると、魔王は数年前に死に、新しい魔王がこの世界によって選ばれたのだという。 「だが、それは、でき損ないの魔王だったのです」 アルモナス王は、続けた。 魔王は、確かに強大な魔力を持っているのだが、その魔力を自ら打ち消してしまう力を持っているのだという。 「このままでは、瘴気は枯れ果て、この世界は滅びます。それ故、あの魔王は死なねばならないのです」 マジかよ? 俺は、なんか、理不尽なものを感じたが、理由はどうであれ、俺が、魔王を倒さなくてはならないことに変わりはなかった。 生きて、アリスティア王のもとへ帰るために。 こうして、俺は、魔王の討伐をすることとなった。 絶対に、生きて帰る! この子と共に。 俺は、心に固く決めていた。

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