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第42話

そうして、昼休み。 天気もいいので変わらず、みんなで屋上で食べた。 「奏斗は俺たち以外には笑顔を見せないし、表情ないし、いざ話しかけられたら冷たくあしらうだろ?」 なんで知ってるんだろ、と目を丸くしながら、奏斗は頷いた。 「優斗の場合、奏斗と違って、誰にでも愛想いいし、笑顔だから、相手に期待持たせちゃうのかもな」 カニクリームコロッケに齧りつきながら、恭一が言い、 「三年ばっかと思ってたらさ、一年にもだし、それどころかクラスメイトにも、優斗の隠れファンがいてさ、俺たちも驚いたよ」 大貴の言葉に、優斗は身を縮め、震え上がった。 「大丈夫、僕たちで三日の間に優斗が好きだとかいう生徒、調べ上げて、言いくるめたから」 慶太がクリームパン片手に微笑み、齧り付いた。 「にしても、大貴。いつの間に、彼氏、出来た訳?父親が警察官だとかいう」 「ああ、アレ、嘘」 恭一の隣で大貴は平然と焼きそばパンに齧り付いた後、にんまりと笑う。 「だからさ、優斗、これからは安心していいよ」 慶太はそう言ってくれ、優斗も、その場では、うん...、と頷いたものの。 優斗はαを雰囲気や匂いで感じ取ると話しかけられるや否や、逃げ出し、トイレの個室に閉じこもってしまう様になった。 代わりに恭一たちが話しを聞くと、大抵、クラスメイト全員に回される連絡事項。 そうして、三人のうちの誰かが個室に閉じこもる優斗を迎えに行く。 奏斗もまた、αらしき生徒に話しかけられ、一目散にトイレに走る兄を心配し、 「お兄ちゃん?奏斗だよ」 暫しの間を置き、ゆっくり扉が開く。 「...奏斗?」 トイレの個室で膝を抱え丸くなり、子犬のような目で見つめ返す兄に、 「大丈夫だよ、お兄ちゃん」 優斗を抱き締め、背中を何度も優しく摩った。

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