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love you, too

「教えてよ。オレのこと、好き? 嫌い?」  唇がゆっくりと離れていった後、だめ押しするみたいに聞かれて、もう何も言えなくて。 「どっち?」  重ねて問われて、ようやく口を開いてから、 「……す、き……だよ」  掠れる声をどうにか喉から絞り出して呟いた。  熱に浮かされたみたいに熱いのに、オレは最初から相沢のこと気にしてたんだ、なんて今更ながらに思っていた。  好きな人はいるのかと生徒に聞かれたことくらい、無視しておけば済んだはずのことだし、怒って済ませてしまえばいいことだった。  まして告白された後だって、突き放してしまえば済むことだった。  なのに、こうやってる。 「すき、だよ」  たぶん、そういうことなんだ。胸の内でそう呟いていると、あり得ないくらいに嬉しそうな顔で笑った相沢が、でも半泣きの顔で抱きついてきた。 「大好きだよ」  飾ることのない真っ直ぐな言葉を、愛しいと思った。  コツリコツリと近付いてくる足音。  抱き締められたままで聞いて、ハタと我に返った。 「--------っ、ヤバ」  自分は今、どさくさに紛れてなんと言っただろう。  そして今の今まで、何を思っていただろう。  愛しい? 教師の自分が、生徒に? しかも、学校の中で?  じゅんぐりに考えを巡らせた後で、自分を抱き締めていた相沢を突き放した。 「ヤバイってオレ! 何ほだされてんのっ」 「……ともや?」 「それも!! ヤバイって! 今どこにいると思ってんの!?」  あぁぁぁぁぁ、と頭を抱える自分を、相沢は小さな苦笑で見つめてくる。 「かわいーの」 「バッカ! そんな状況じゃないでしょ!?」 「大丈夫だって。なんとかなるよ」  何言ってんだよッ、と半泣きで見つめる先で、相沢はにっこり笑った。 「なんとかなるよ」  その笑顔で言われると、ホントになんとかなりそうな気がすると、一瞬思ったのは内緒にしておく。 「バレなきゃいーんだから。大丈夫だよ」 「……」 「心配性なんだから、朋弥は」  やれやれ、と大人びた表情で呟かれるのが何となく癪で。 「校内でその呼び方禁止ね。たとえ二人っきりでも」  それだけ言い置いて、さっさと教室を出る。 「待ってよ、とも----先生」  僕らの新しい始まりだった。

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