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第30話 篠田ごめんね許してね!の巻(2)
食事を終え、コーヒーを入れた。
「はぁ~、本当に美味しかったわ!やっぱりお店じゃこういう家庭の味は食べれないのよね」
「すみません、先にわかってたらもう少しマシなものを作れたんですが…」
「何言ってるの?あなたの料理最高だったって言ってるのに。今まで佑成の彼女ってこういう料理つくれる子がいなかったんだよね。だからどうってわけじゃないんだけど…意外だったの。男の子なのに今までの彼女より家庭的なんだもの」
「そうなんですか?」
「うんうん。なんていうか、佑成のルックスに惹かれて、しかも自分に自身がある子ばかりと付き合ってたもんね?」
「あー、うん。まあ」
「そもそもどうでもいいと思ってたでしょ?合鍵渡して家に上げるの自体珍しいもんね」
「うん、だって家に勝手に入られるの嫌だったし」
「その時点で恋人とは言えないでしょ。あんたは冷た過ぎるのよ」
「そう?」
「あの…お姉さんは…佑成くんの恋人が男でも気にしないんですか?」
俺は気になってたことを聞いてみた。
「性別のこと?あ~そんなの気にしないよ。だってこの業界ゲイなんてザラだし」
めちゃくちゃあっさり流された。
そうなんだ…
「そもそも2人のことなんだから2人が納得してればそれでいいじゃない?誰かに迷惑かけてるわけじゃないんだし」
「…はい…そうですよね」
お姉さん、見た目キツそうだけどすごく良い人だな。
「それに君なら料理上手だし私も美味しいご飯にありつけて大歓迎!」
「おいおい、姉ちゃんが何で先輩の料理をあてにしてるんだよ」
「いいじゃん、たまに一樹くんの料理食べさせて貰いに来るね」
「いや来る目的がおかしいから」
さて、と言ってお姉さんは自分の滞在するホテルに帰っていった。
よかった…リビング以外は部屋の掃除が済んでいないので、泊まるならどうしようかと思っていたのだ。
「先輩そんな心配までしてくれてたの?ありがとう、今夜はいきなりごめんね」
「もう、ビックリしたよ。あんなご飯しか出せなかったし…気に入らなかったらどうしようかって思っちゃった」
「先輩のご飯美味しいもん何が出たって大丈夫だからお願いしたんだよ?」
「大丈夫じゃねーよ!普通もう少しマシな物をだなぁ」
「いいからいいから。ほら、皿洗って一緒に風呂入りましょう、ね?」
「えー…でも…うん…」
今日は俺が尽くす日だと意気込んでいたのに結局いつものように篠田に身体を洗われてしまった。
それでも、なんとか自分も篠田の背中を流す。広くて程よく筋肉が付いた背中だ。
「兄弟みんな背ぇ高いし美形なんだな」
「あー、母親がモデルだったから…」
「そうなの?なんだ、そういうことかぁ」
ゴシゴシ。
ザバー。
流し終わったので2人で湯船に浸かる。
俺は後ろから抱きしめられた。
「はぁ~~、この瞬間が一番落ち着くぅ」
「ハハッ大袈裟だな」
「ほんとほんと。忙しくても先輩が家に来てくれるからめちゃくちゃ助かるしありがとね」
「うん…」
「先輩…一樹さんが家で待っててくれるってだけで仕事も頑張れるし帰ってくるのめちゃくちゃ楽しみになるよ」
「そうなの?」
篠田は俺の首筋にキスした。
「本当。こんなふうに思った人今までいなかった。仕事忙しい時は彼女になるべく会いたくなかったくらいだし」
「え?そうなの?だって部屋片付けたりして貰えたら楽じゃん」
「それさぁ、相手を信用してないとそうはな思えないんだよ。俺気付いたんだよね」
「ああ…そうなの…」
確かに俺も自分の部屋彼女に勝手に片付けさせたりしたことないな。
俺は自分でやりたい派だからなんだけど。
「さっき姉ちゃんも言ってたけど俺割と今までの彼女に冷たかったんだ。あんまり気を許してなかったというか。でも一樹さんの事はすごく信用してて大好きで愛しててしかもその一樹さんが家事得意で掃除も料理もやってくれて最高に幸せ」
好き…♡と言いながら首筋に吸い付いてくる。
俺は胸がギュッとなった。こんなふうに思ってくれてたんだ…。
「あれ!?先輩泣いてんの!?え、ちょっとえー!?」
「ごめん篠田…ごめんね。そんな風に思ってくれてるのに俺…お前の弟とあんなことして信用裏切るようなことしてごめんなさい…ごめん…ひぐっ」
「え、まだ気にしてたのそれ?!大丈夫だよ、わかってるから先輩が俺のこと一番好きなのは」
俺を抱き締める腕に力がこもる。
「ごめんね、ごめんね…っうっ何でもするから捨てないで…っヒック」
「バカだな、捨てないって。たまに出るなそれ?捨てないよ~。誰にも渡さないから安心して?」
「ううっごめんなさいぃ~~」
「ほら、ヨシヨシ。大丈夫だよ~」
「明日篠田の好きなものいっぱい作るから…許して…」
「え?それはうれしいけど。別にそんなの良いんだって。こうやって帰ってきた時待っててくれるだけでいいの」
「しのだぁ…うぇえ…ごめんなしゃい…」
「あーあー、鼻水も出てきたよ」
篠田は笑って俺の頬にキスした。
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