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第74話 【菊池視点】ひとりごと

俺は最近離婚してちょっと落ち込んでいた。 そんな時、高校時代からの友人一樹から引っ越しの連絡があった。 俺は実はバイセクシャルで、この一樹にずっと片想いしていた。 だが、一樹はノンケでずっと彼女が途切れない奴だったから性的嗜好自体隠していた。 昔から純粋で人を疑わないところがあり、変に気持ちを打ち明けて悩ませるのも可哀想だったから。 そして、俺も引っ越したと返事をし、慰めてもらおうと思って飲みに誘った。 久々に会う一樹は何となく前より色っぽくなったような気がした。でもそれは俺が離婚して寂しいからフィルターがかかってるんだと思って深くは考えなかった。 飲みながら離婚の経緯や俺がバイだということを話したら目を丸くして固まっていた。 そりゃノンケの一樹は驚くよな。そう思ったんだが、俺は一樹のつけてる指輪に気付いて問いただし、その答えに愕然とした。 結婚指輪を男から貰っただぁ? おいおい待てよ、いつの間に男と付き合うようになったんだ? 少し前まで彼女がいて、俺も会ったことがあるのは間違いない。 くそ、俺が離婚の件でゴタゴタしてる間に横取りされたってわけか! 彼女と別れたって聞いた時、どうせまたあいつのことだからすぐ女が出来るだろうと思って油断した。 こんなことなら、傷心の一樹を慰めて俺のものにすべきだった! 俺は詳しく話を聞くため一樹にしこたま酒を飲ませた。 そしたらなんだ、あの一樹が酔ってぽやんぽやんになりながら彼氏の惚気を始めやがった。 彼女のことは愚痴ばっかだったのになんなんだ?どんなやつか見せろと写真を見せてもらったらバカみたいに綺麗な顔の男だった。何だ?このチャラチャラしたモデルみたいな男は… こいつこんなに面食いだったのか…? そこで俺はちょっと意地悪したくなった。 だって俺がずっとそばに居ながら、いきなり出てきたイケメンに恋人の座を奪われたんだぞ? 少しくらい許されるはずだ。 店を出て、酔っ払って俺のことを彼氏と勘違いしてる一樹を自宅に運んだ。 気持ち悪いと言うからトイレで吐かせて、汚れた服を洗ってやる。 髪にも付いたし身体も洗わないと… これは下心じゃないぞ。飲ませ過ぎた友人としての義務だ。 そう言い訳して、一樹の下着を剥いだ。 部活が一緒だったから別に初めて見るわけじゃないが、久々に見た一樹の身体は綺麗でそそられた。 ぐったりしてるから、俺が後ろから身体を支えて、もたれかかってくる一樹の身体を洗う。 これからセックスするならどれだけいいか…。 心頭滅却して無心で身体を泡だらけにしてやっていたら、一樹が意識を取り戻して自力で起き上がった。 結構重たかったから少しほっとした。 「目が覚めたか?」 「ゆうせい…なんでちゃんと気持ちいいところ触ってくれないの?」 げ。まだ彼氏と勘違いしてる。 俺は頭からシャワーをかけ、流してやりつつ目を覚ますよう促した。 「やめろよ~アハハ!ビチャビチャじゃん」 「起きろ酔っ払い」 「焦らさないでよ……ねえ、しよう?」 床に座ったままの俺に乗り上がって、首に腕を回してきた。 おーおー……これはいい眺め…… っていうかこんな誘い方いつの間に覚えたんだ!けしからん。 この据え膳を我慢してやる代わりにあのイケメンに一泡吹かせてやるか。 「一樹、どこをどうして欲しいんだ?」 「んー…舐めて欲しい…ここ」 下腹部に手を当てて誘ってくる。 エロ過ぎだろ…くそ、心頭滅却…! 俺は足を開かせて、股の間に顔を埋める。 「ぁあ…ゆうせい…」 頭を一樹の手が撫でてくる。 俺は足の付け根の部分に唇をつけて、思いっきり吸い上げた。 「あっああんっ♡」 ヒクっと小さく震える身体をそのままめちゃくちゃにしてやりたいがどうにか我慢する。 「感謝しろよ、篠田とやら」 俺は綺麗になった一樹をタオルで拭き、髪の毛を乾かしベッドに放り投げた。 何も知らない安心し切った顔ですやすや眠っている。 ったくこいつは人の気も知らないで… おでこにかかった髪の毛を避け、額に口付けした。 高校の時を思い出す。 あの日俺たちは一樹の部屋で試験勉強をしていた。居眠りした一樹の顔を見て、我慢できずに額にこっそりキスした。 あの時だってこいつは彼女がいて俺のものではなかった。 今も… 「指輪なんて貰って嬉しそうにしちゃって。篠田が変な奴だったら俺が許さないからな」 翌朝、目が覚めて慌てる一樹は可愛かった。 ダメ元で付き合おうと言ったがあっさり断られてヘコむ。 その後篠田とも電話で話ができた。 ちょっと意地悪なこと言ったけど、俺の大事な一樹と付き合うならそれくらい覚悟してもらわないとな。 あいつは無自覚な人たらしだから、篠田は苦労するだろう。 まぁ、それに篠田が耐えられなくなったら…その時は俺が一樹を頂くまでだ。 とか考えてたらその後一樹にめちゃくちゃ怒られた。 はぁ。誰か俺を慰めてくれよ! 完

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