俺は篠田の要求を断れるはずもなく、スマホを手にして菊池に電話をかけた。 4～5回コールして相手が出た。 『もしもし？一樹どうした？』 「いま大丈夫？」 『ああ。なんだ、もう俺が恋しくなった？』 「馬鹿なことしてくれたな」 『あー、ははは！気付いたか。どう？俺からのメッセージは』 「最悪だよ。お前なんでこんなことすんだよ！」 『お前のこと好きだって言ったろ。それで？彼氏が怒って電話かけろって？』 実はスピーカーになってて篠田も横にいるのだ。 「初めまして。篠田です。悪いけどスピーカーで一緒に聞いてます」 『おお、これはこれは初めまして。一樹の友人の菊池だよ。昨夜はごめんね連絡も無く。怒ってる？』 「…はい」 『話は色々聞いたけど、なかなか束縛激しそうだね篠田くんは』 篠田は無表情で、返ってそれが怖かった。 「……それがわかってるなら、今後はこういう挑発やめて下さい。人のものに手を出すなんて行儀が悪いですよ」 『怖いね。でも、俺もポッと出の君に一樹を取られて頭に来てるんだ。俺の方がずっと一樹のことを良く知ってる。そんなに束縛のキツい付き合い方、一樹は窮屈なんじゃないかな？』 「なんだって？」 『指輪なんて…そんな物で他の男を牽制してるつもりか？話を聞く限り結構強引に一樹と付き合ったようじゃないか。一樹は流されやすい性格だから今は君に従ってるんだろうけど、いつまで続くかな？』 篠田の方を見ると、苦しそうに眉を顰めている。 言い返せないのだ。 俺も、旧友による性格診断には覚えがありすぎて反論できない。 『一樹が男と付き合えるとして、君以外の選択肢があるのにそれを強引に握りつぶして満足か？指輪なんかで縛り付けて安心しようだなんて安易で身勝手じゃない？』 「それは…そんなつもりじゃ…」 『俺は本気で一樹のこと思ってるから、今はこれ以上2人の関係をかき回すのはやめておくよ。でも、君が一樹を放り出した時はいつでも居場所になるつもりだ』 「そんなことはありえない」 『どうかな？男と付き合ったこと無いんだろ？』 「どういう意味だよ」 『さあな。だけど、男女で結婚したって俺のように離婚することもあるんだって言いたいだけだよ』 「………」 『あ、一応一樹の名誉のために言っておくと、キスですら断られたから本当に何もしてないよ。俺を篠田くんと間違えて色っぽく誘ってくるところは見せてもらったけどね。』 菊池は笑っている。 『じゃあ、他に用がないなら切ってもいいかな？一樹、またな』 篠田が何も言い返さないので、電話はそこで切れた。 篠田は虚空を睨みつけていた。 ＊　＊　＊　＊　＊ 「先輩ごめん、今日俺あっちの部屋で寝る」 篠田が、いつも剣志が来た時寝る部屋に行こうとする。 俺は背中に抱きついた。 「待ってよ！ダメだよ、なんで？俺のこと怒ってるの？」 「違う…。先輩のことは怒ってないよ。むしろ自分に怒ってる。……ちょっと1人で考えたいんだ」 俺は篠田の前に回り込んだ。 「だめ！絶対一緒に寝るから」 篠田の目をじっと見つめる。 俺が結構頑固なのがわかっているので篠田は折れた。 ベッドに入っても、篠田は俺に背中を向けたままだ。 「佑成…こっち向いてよ」 後ろから抱きついてもこっちを向いてくれない。 「キスしたい…佑成」 いつもならこんなこと言ったらすぐに抱きしめてキスしてくれるのに、黙ったまま動かない。 「佑成…」 「ごめん先輩。俺、なんか間違えてたのかも」 え…？間違えてたって何…？ やだよ。なんの話？ 「先輩のこと束縛してごめん。俺、自分から人のことこんなに好きになったの初めてで…加減がわかんなくて…」 篠田の身体に回した手を握られる。 「篠田…」 左手の指輪を触りながら篠田が言う。 「指輪、嫌だったら外して良いよ…本当にごめん。勝手な考えで先輩の自由を奪おうとした」 俺は起き上がって篠田の身体を仰向けにした。 「嫌じゃない！何言ってんの？俺、嬉しいって言ったよね？」 篠田のこんな自信ない顔初めて見る。比喩じゃなく本当に胸が痛い。 「本当だよ。嬉しくて剣志に自慢して怒られたんだから。ねぇ…俺も男と付き合ったこと無いから不安なのは一緒だよ。だからこうやって指輪で俺のこと縛ってくれるの、全然嫌じゃない。篠田がしてくれることならなんでも嬉しい」 篠田の額に自分の額をくっ付ける。 「菊池の言うことなんて気にするなよ。もっとガチガチに束縛してくれても構わない。俺は篠田のこと好きだから…それよりさっきみたいに突き放されるのが一番辛い」 「先輩…」 「だから別の部屋で寝るなんてもう言わないで。喧嘩しても、何があっても絶対一緒のベッドで寝るって約束してよ」 両手で篠田の頬を包む。 見惚れるほど良い男だけど、捨てられた子犬みたいな顔しててなんか…… グッとくるな。……舐めたい。 「ねえ、約束しないとこのまま顔中舐め回すよ」 「え！？なんだよ急に」 「おい、約束するのか？しないのか？」 「する、します！」 「俺、佑成のこと好き」 唇を啄んだ。篠田は大人しくされるがままになっている。 「佑成は俺が今まで見た人間の中で一番綺麗な顔。最初見た時、なんか腹立ったくらい…」 「初めの頃少しも笑顔見せてくれなかったよね」 思い出しながら篠田は少しだけ微笑む。 「今思えば…最初からお前のことが気になってたのかも」 篠田の上に乗って深く口付ける。 今度は篠田も応じてキスしてくれる。 「好き……好きでしょうがないんだ。俺、先輩のことになると何やってもかっこ悪くなるな」 「いいよ。俺はそんな篠田のことが好きだから」 可愛いな。俺の年下の彼氏はずげーかわいい。 「一樹さん愛してる」 「俺も愛してる。佑成だから男でも付き合えてるのわかって？誰でもいいわけじゃない」 胸に顔を埋める。 篠田の匂いも好き。 「うん…」 「菊池のことは友達としか思えないから安心して」 「菊池さんってかっこいい？」 「まあ、男前ではあるな。でも篠田の方がずっとイケメンだから」 大好きな篠田の顔を撫でる。 でもまだシュンとしてる。 「俺、見た目しか勝てる所ない？」 「バカか…。んなわけねーだろ」 「じゃあ他にどこが勝ってる？」 「うーん………………ちんこ…？」 「ぶっ！ちょっと先輩！！」 篠田は吹き出した。 「へへ、笑った」 「やめてよ…真面目に話してんのに」 俺は篠田の身体を滑り降りて布団の中に潜った。 「え？先輩？」 篠田の着てるスウェットを下ろし、下着の上から愛すべき雄の膨らみを口に含む。 そのまま柔らかく唇で揉みしだく。 「うぅ…ちょっと待って…いつきさ…」 「ん…ふ…」 少しずつ頭をもたげる性器を俺は直接触ろうとして下着も下ろした。 「愛してる。じゃなかったら男相手にこんなことできないから」 俺は篠田のペニスを口で愛撫した。 じゅぷ…ぐちゅ…じゅる… こんなもん、篠田の以外舐めれるわけねえだろ。 （あ、剣志のは篠田への愛ありきだから！） じゅぷ、じゅぷ… 苦い味がしてきて、俺は口を離した。 挿れてもらわないと俺ももう収まらない。 「挿れて、佑成…」 ローションを付けた指で、自分でほぐす。 もういいや、挿れちゃえ。 「え、先輩そんないきなり挿れたら痛いよね？！」 「いい、痛くてももう…我慢できないから」 篠田に跨って自分で腰を落として挿れていく。 「ん…ふぅ…キツイか、さすがに。あーー、もう、佑成がしてよ」 俺はドサッとベッドに仰向けになり足を開いた。 「来て、佑成…早く」 くぱっと穴を2本の指で広げてねだる。 「はぁ…。本当に一樹さんは…。お願いだから絶対こんなこと他の人の前でやらないでくれよ」 「誰がこんなこと他所でやるかよ。ほら、来て？」 篠田はやっと挿れてくれた。 少しずつ出し入れされる。 「あ…あっああ…たまんない…篠田に乗っかられるの好き…」 その後ピッチをあげてゆさゆさと揺さぶられる。 「もっと揺すって…きもちいい…あ…ぁ♡」 ゆさっゆさっ ずちゅ…ずちゅ… 俺がもういいって言うまで腰を振らせて、キスしながら二人で気持ちよくなった。 「んっイク…♡」 「俺も出そう…」 その後もう一回バックから突いてもらった。 篠田は勿論、菊池の付けた跡の上からもっと強めにキスマークを残した。 ついでに胸元や、他の場所にも。 セックスのあと俺は指輪を撫でながら篠田に言った。 「今度指輪外していいなんて言ったら離婚するから」 「はい。すみませんでした」 「菊池にはキツく言っておく。篠田のこといじめるなってね」 「はい。お願いします」 結局俺達はラブラブってことで……めでたしめでたし♡